ぶつかると分かっているのは、口ケンカ星があるから。

ホロスコープ上で水星☿と火星♂が凶角(90度、180度)を作っていると、話し方が攻撃的になるので、“口ケンカ星”と呼んでいます。
個人(ネイタル)の星並びでも、このアスペクトがあると口達者になったりしますが、2人の相性で、この“口ケンカ星”ができると、まぁ、言い争いが絶えなくなったりするのですよね。
私の親戚のご夫婦もこの口ケンカ星があって、毎晩、口論していますからね。孫たちが“あ、またバトルしている”ってあきれるほどでして・・・。

さて、神奈川県にお住まいで、ダンスの講師をされているYさん。50代の半ばで、バツ1。同じジムに通う男性Bさんと親しくなって、今では結婚を視野に入れてのお付き合いをしている。

このお相手のBさんは、同じ神奈川県内で工務店を営んでいて、年齢は60代前半。一級建築士で、家も建てられるのですが、最近は周囲に新築を建てるような土地が無く、やっていることはほとんどリフォームばかり。台風の後なんかは仕事が立て込むのだそうです。忙しい毎日を送っていますが、奥さんを10年ほど前に病気で亡くされ、このまま一人歳を取っていくのは淋しいと思いながら、ベンチプレスをしていた時にYさんと知り合ったそうです。で、このBさんには30代の息子さんがいらっしゃる。

息子さんも同じ工務店で働いていて、父のBさんが代表で、息子さんは営業部長という肩書き。もともと社員が数人という小さな会社ですから、人に自慢できるような肩書きじゃないそうですが。
Bさんの家では、息子さん夫婦と父親は一緒に暮らしている。息子さんは結婚していて、まだ3歳のお子さんがいる。

で、息子さんは、父親が結婚されると、家を出ていかなければならないかもしれない。なんか面倒なことになりそう・・・ということで、父のBさんとYさんとの結婚には猛反対。

息子さんはYさんに会うと、 “財産狙いか”とか、“会社を乗っ取るつもりか”とか、“将来、誰があんたの介護をするんだ”とか、“うちの墓にはあんたは入れんぞ”とか、激しく口やかましく言ってくるそうだ。

もともと仕事の話でYさんのことを鑑定していたのだけれど、ついでにという感じで、この家族の話を聞いたのですけど・・・だんだんこちらの話題に鑑定の軸足が移っていったのですよ。

まぁ、50代ともなると、立場をわきまえて、しおらしく、大人しくしているのですが、20も年下の男性に一方的に言われっぱなしというのはどうにも不快で、むしずが走ってくる。どうしたらよいものかと、Bさんの息子さんとの相性を診ることになったわけですよ。

で、まずは、このBさんの息子さんのホロスコープを見てみましょう。

本人が特定されることを防ぐため、生年月日は記載しません。
【ここでホロスコープ初心者の方のためにアスペクト(角度)のことを簡単に伝えると、星同士の角度が0、60、120度の時は“吉角”と言って、良い働きをする角度。90、180度、つまり直角か、真裏に星が来ると、“凶角”と言って、強く出過ぎて、害になりやすい影響を与えやすい角度。詳しくは私のサイトを見てね。】


水星☿、火星♂、海王星♆がTスクエアを形成しています。

Tスクエアというのは、90度と180度凶角が組み合わさった強い凶角です。冒頭に書きましたが、水星☿と火星♂の凶角は“口ケンカ星”です。そこに海王星♆が加わっているのですが、海王星♆は感情を意味しますので、“ヒステリックな口ケンカ星”、“感情的な口ケンカ星”といったところです。

“口ケンカ星”を持っていると、頭の回転も速くなります。口達者な人って、まぁ、頭の回転も速いですからね。マシンガントークになったり、理屈っぽくなることもよくあります。有名どころでは、古舘伊知郎さん、横山やすしさんなんかもこの口ケンカ星を持っていますね。

実際、父親のBさんによると、息子さんは名の知れた国立大学も出ていて、スピード感もあり、営業マンとしては有能だそうです。ただ、どうも喋りに圧があるようで、社員からは必ずしも好かれてはいない。立場もあるでしょうが、息子さんは弁が立つので、社員の中で彼に逆らえる人がいないですって。

で、こんな“感情的な口ケンカ星”のTスクエアを持っている息子さんに敵視されたら・・・しんどいでしょうね。

じゃ、Yさんはどうすればよいのか。
相性を診てみましょう。

相性を鑑定する場合には、2重円のホロスコープを作り、内側、外側にそれぞれ人の生年月日を入れていきます。今回、内側にはBさんの息子さん。外側にはYさんを入れていきます。


Bさんの息子さん口ケンカ星のTスクエアを持っているのですが、実は、そこにぶつかるようにグランドクロス(十字架、Tスクエアよりさらに強い凶角)位置にYさんの火星♂があるのです。
かなり強烈な口ケンカ星です。

相性鑑定で口ケンカ星ができる場合、火星♂のある方が攻撃をするのですが、この相性では両方に火星♂があるので、両方が攻撃をしてしまいます。

息子さんは、“感情的な口ケンカ星”のTスクエアを持っているので、子供の頃からこれまでほぼ口ケンカで負けることは無かったことでしょう。しかし、Yさんがそのちょうど正面からぶつかる、カウンターを食らう位置に火星♂を持っているのです。案外、互角に戦える相手であります。

そもそも外側のYさんも、水星☿、火星♂、木星♃が60度吉角ずつに並ぶ、“小三角形”というやや強い吉角アスペクトを持っていますから、こちらも弁は立ちますよ。

このホロスコープを解説して・・・「よく今まで、ぶつからなかったですね。」とYさんに尋ねたら、これまでは結婚前ということもあって、じっと我慢してきたという。

ただ、いつかはぶつかるというか、言い争うことになる相手だと覚悟しておいた方がよいでしょうね。

しかし、ぶつかることにはそんなに悲観すること無いのですよ。

水星☿、火星♂、木星♃のグランドトラインもできています。グランドトラインとは120度吉角が3つ組み合わさった強い吉角であります。正三角形の形になります。

水星☿、火星♂の凶角は“口ケンカ星”となりますが、吉角の場合は、よく議論する相手となります。吉角をソフトアスペクト、凶角をハードアスペクトとも言いますが、口ケンカをソフトにすると、議論、ディスカッションという感じになりますからね。

で、もう一つ、水星☿と木星♃の吉角はよく伝わるコミュニケーションを意味します。

つまりこのグランドトラインは、議論することでよく分かりあえることを示しています。

後日、お正月にYさんは、Bさんと息子さんの3人で顔を合わせる場が持たれたそうです。

以下、Yさんのメールより。

“初めから息子さんはひとり暴走暴言して捲し立てきました。根深過ぎる執念てやつですね。

私は途中まで黙ってましたが、あまりに一方的なので、冷静な口調のド正論で反撃ですよ。

まあいつか争う相手と聞いていたので、それなら今だと思って。

そしたら先生…なんと!

後半から同調口調でへこへこな態度になり、外まで着いて来てへこへこな態度で謝って来ました。

星の通り私の火星が勝ちましたね(^_^)a

ほんと先に先生に性格と相性を聞いていて良かったです(^^) ”

天晴(あっぱれ)ですね。
スマホで動画を撮ってもらって、へこへこに頭を下げている息子さんの姿を見たかったです。

で、ついでにYさんのこのお正月の運気を見ますと、

時期の運気も2重円で診るのですが、ここでは木星♃位置だけ注目していきましょう。
今度は、内側がYさんで、外側がお正月ごろの木星♃の位置を示しています。

Yさんの水星☿、木星♃とお正月ごろの木星♃で強い吉角の三角形グランドトラインを形成しています。
水星☿と木星♃の吉角は、情報発信力があり、コミュニケーション能力が高まり、良い情報が来やすかったりします。交渉力も高まってします。

また、Yさんの火星♂とお正月ごろの木星♃が180度凶角になっています。これは“勢いが出過ぎる”、“度胸が出る”、“調子に乗る”、“暴走する”という意味であります。

ただ、グランドトラインと180度凶角が重なった形を“カイト”というのですが、これはその180度凶角の現象も起こるけれど、結果的にはグランドトラインの意味するところに収まるという意味でありまして・・・

まぁ、Yさんはちょっと勢いを出し過ぎたかもしれないけれど、対話が出来たのではないですかね。結果オーライということでしょう。「極道の妻たち」みたいな感じだったのかな・・・

つまり星並び的に、Bさんの息子さんを言い負かすのに、タイミングも良かったということです。
“それなら今だ”と思ったのは、間違っていなかったでしょう。女の勘ですね。

まぁ、義理の息子さんになる人と心底分かりあえたかどうかまでは分かりませんが・・・もう少し時間はかかるかな。これからも怪獣対決レべルの熱い討論、言い争いは続くことでしょう。

Bさんの息子さんもびっくりしたでしょうね。

まさか自分をぎゃふんと言わせる相手が・・・自分の新しい母親として目の前に現れるなんて。

(了)