母親だからって、息子にお手上げなこともあるわさ。

B子さんの息子さんは、小学6年生。
今年の3月から特にひどく荒れるようになった。
もともと2年前から友人関係のトラブルで精神状態が悪くなり、不登校になっていた。昨年からコロナ禍になって学校が休みになると、オンライン授業は拒否し、家での暴言暴力もひどくなっていった。
部屋に引きこもって、ゲーム中毒状態。ご飯は一緒に食べようとしても、イヤホンをしたまま、目を合わせることもない。精神科の医師の診察も拒否したまま、抗精神剤にお世話になっている。

B子さんは、広島県在住の専業主婦。50代半ば。
10年に及ぶ不妊治療の末に、やっと恵まれた子宝であったけど・・・今では、あの頃の願い、努力、苦労は何だったのだろうと、後悔の念もよぎってしまう。
ゲームばかりの生活を注意したところ、拳を振り上げてきて・・・それがトラウマになって、息子に口を利けなくなったという。
息子さんと向き合う重い沈黙が、家の中からずっと離れないでいる。

まずはね、この子がどんな子かというと、ということで、息子さんのホロスコープを見てみましょう。
(本人が特定されないように生年月日は示していません。)

【ここでホロスコープ初心者の方のためにアスペクト(角度)のことを簡単に伝えると、星同士の角度が0、60、120度の時は“吉角”と言って、良い働きをする角度。90、180度、つまり直角か、真裏に星が来ると、“凶角”と言って、強く出過ぎて、害になりやすい影響を与えやすい角度。詳しくは私のサイトを見てね。】

息子さん息子さんの星並びの特徴は、何と言っても、Tスクエアが3つもあることです。Tスクエアとは、90度凶角と180度凶角が組み合わさって、Tの字の形になった強い凶角アスペクトです。
解説しますと、まずは、太陽☉、月☽、木星♃、海王星♆のTスクエア。木星♃×海王星♆の凶角を私は“疎遠星”と呼んでいますが、“一人好き”“一人が平気”となります。それが太陽☉、月☽によってかなり増幅されていますので、神経質、ナーバスになっていることでしょう。またひどく妄想的なところもあるかもしれません。チャート図には示していませんが、火星♂×木星♃×海王星♆の120度吉角もあるので、“陽気”、“前向き”、“ハイテンション”、“反省しない性格”という面もありそう。つまり、強くナーバスさとハイテンションが同居するような、“躁鬱(そううつ)”の性質が出てきているのではないでしょうか。
2つ目は、水星☿、火星♂、土星♄、天王星♅のTスクエア。水星☿×火星♂の凶角を私は“口ケンカ星”と呼んでいます。そこに、執着の土星♄や、個性的の天王星♅が加わっていますので、弁が立って、口達者で、攻撃的で、頑固でトリッキーなことでしょう。
3つ目は、火星♂、天王星♅、冥王星♇のTスクエア。火星♂×冥王星♇の凶角を私は“戦士の星並び”と呼んでいますが、力を出し過ぎてしまうことを意味し、頑張り過ぎて“消耗感”が強かったり、暴力的に“キレやすくなったり”します。

これらのTスクエアの性質を全部持っているということなので、かなり扱いに苦労するでしょうね。
そもそも3つもTスクエアを持っている人なんて、相当珍しいです。激レアなケースでありますよ。

上のホロスコープから読み取れる性質をB子さんに話すと、全部当たっているそうなんですが・・・とするとですね、B子さんは、この息子さんの子育てに困っているようですが、この子なら、正直、どんな親が育てても苦労することでしょう。

私なんか、“こりゃ、難しいわ”とさらっと口にしてしまうのですけどね。
というのも、吉角ばかりの人は、まぁ、例えて言うなら、「地元の農協、地元の市役所に就職できて、良かった。」と喜ぶタイプ。真面目、堅実、保守的で、冒険を嫌うようなところが出てきやすい。穏やかで、欲が無く、ハングリー精神も少ない。人を蹴落として、上にあがってやろうというような強い野心は無かったりする。
一方、凶角が多い人はハイリスク&ハイリターンがあるような人生を選ぶ傾向が強くなります。「地元の農協、市役所なんて、絶対ヤダ。東京か、ニューヨークに行って、一旗揚げてやる」といったイチかバチかの冒険心が強くなります。リスクを取るから、大勝負して社会で頭角を現わす人もいれば、失敗して落ちていく人もいるのですよ。ハングリー精神が強く、ガツガツしている。ただしね、アクが強くてね・・・協調性を大事にする日本社会では生きづらい面も多いでしょうね。

つまりね、吉角の多いお子さんの場合、まぁ、ざっくり言えば、誰が育てても、堅実な子だからそこそこの人生を歩むような人になっていくわけですよ。安心して見ていられる、と。
一方、凶角の多いお子さんの場合、怖いもの知らずのようなところがあるから・・・成功して大物になるか、脱落者になるか、という具合で、育てる側、導く側に、その子の人生の責任がのしかかってくる。
例えば、上のBさんだって、息子さんが不登校のような大胆な行動を取ったりするのだけれど・・・ある意味アグレッシブで、それをどう導くかによって、この子の人生が大きく変わるでしょ。

で、“凶角の多い子を育てるのは、難しい”のですよ。
強さは、星の数に比例します。
この息子さんのように、複数の星でできたTスクエアを3つ持つ子なんて・・・スペシャルに難しい。

さて次に、ここでB子さんと息子さんの相性を診てみましょうか。
内側が息子さんで、外側がB子さんであります。
B子さんと息子さんきびしい星並びが3つありますね。1つは息子さんの太陽☉、月☽、木星♃、海王星♆のTスクエアに対し、B子さんの金星♀、海王星♆が合わさって、6個の星がグランドクロス(十字架)という強い凶角のアスペクトを形成しています。グランドクロスというのは、180度凶角の2組の星が90度に交わるという最も強い凶角のアスペクトであります。
金星♀×木星♃の凶角も、木星♃×海王星♆の凶角も、どちらも私は“疎遠星”と呼んでいます。相性でこの“疎遠星”ができると、遠距離になったり、忙しくてなかなか顔を合わられなくなることが起こります。一緒に暮らしている家族に相性でこれができると、“お子さんの場合、早くに家を出る”とか、“家族っぽく無くなる”という現象が起こったりします。
B子さんと息子さんの場合、学校の寮に入ったり、下宿したりして、息子さんが早めに家を出ることになりそうな・・・そもそも、この親子は遠距離が自然体、距離を開けるのが自然体なのかもしれません。
もう一つは、息子さんの水星☿、火星♂、土星♄、天王星♅のTスクエアに重なるように、B子さんの土星♄、天王星♅、冥王星♇が位置しています。合わせると7つの星でできたTスクエアとなります。火星♂×土星♄の凶角は“我慢星”と呼んでいて、“ストレス”が掛かることを意味します。星の数が多いので、“重圧”と言っていいほどのストレスをお互いに掛けていることでしょう。このTスクエアの意味は、“破壊的な口ケンカで、強烈なストレス”といったところでしょうか。
3つ目は、息子さんの火星♂、天王星♅、冥王星♇とB子さんの土星♄でTスクエアが形成しています。これも、意味するところは“強いストレス”ですね。

ということで、相性を診ると、お互いしんどい相手なのですよ。解釈が難しいところですが、“距離を開ける方が自然体”な親子なのかもしれません。

次に2重円のホロスコープで、お二人の今の運気を診てみましょうか。
まずはB子さんですが、内側がB子さん。外側が現在(2022年12月1日)の星並びです。
B子さんの今B子さんの木星♃と現行の金星♀、B子さんの金星♀と現行の木星♃がともに180度凶角を作っています。金星♀×木星♃の凶角は、上にも書きましたが、“疎遠星”と呼び、“独りぼっち感”が出てきます。B子さんの木星♃と現行の金星♀は、さらにB子さんの海王星♆や現行の火星♂も加わり、4つの星でTスクエアを形成します。
B子さんの金星♀と現行の木星♃の方にも、現行の冥王星♇が加わっており、3つの星で180度凶角を形成しています。ちなみに木星♃と冥王星♇の凶角は、お金や労力を多く費やす星並びです。
こうなると、かなりの“独りぼっち感”、“滅入っている”ことでしょう。労力も使っているかな。

一方、息子さんの今の運気を診ますと・・・内側が息子さんで、外側が現在の星並びです。

息子さんの今息子さんの太陽☉、月☽、木星♃、海王星♆と、現行の火星♂、木星♃でグランドクロス(十字架)ができています。
また、息子さんの水星☿、火星♂、土星♄、天王星♅、海王星♆と、現行の海王星♆でTスクエアができています。
6つの星でできたグランドクロスと、5つの星でできたTスクエアですね。これもかなり珍しいです。
ちなみに現行の星とのアスペクトで、グランドクロスができると、“壁にぶつかって、じたばたした状態”になります。

B子さん、息子さん、お二人とも相当滅入る星並びになっています。
現行の木星位置が、お二人にとって“嫌な”場所にあるというのが大きな理由ですが・・・この位置に木星♃がやってきたのは、B子さんの言う通り、今年3月で、その後順行、逆行、順行をしてまた今の位置にいるわけです。
ですから、春以降はこの親子にとっては試練な時期だったということです。

B子さんは、不登校になった息子さんと2人で家にいるわけですが、息子は何かというと怒鳴ってきたり、壁を蹴ったりして、居心地が悪くて仕方ない。
だから、鑑定を依頼されたのでしょうが・・・
B子さんが、鑑定中に“息子とはそばに居たくない”と本音を語ってくれました。
このブログを読んでいる人は、“これは限界だな”と分かってくれていることでしょう。
ホロスコープを見ればね、どれほどのものかということが見えていますから。これほどの星の数の多い凶角は珍しいです。かなり苦しいでしょう。

ただね、普段の生活の中では、そういった弱音はなかなか吐かせてはもらえないですよ。
多かれ少なかれ、母親というものは子育てで壁にぶつかるのは当然で、そんな苦労を乗り越えて、子供を立派に育てていくのが母親の役割責任といった感じで・・・で、みんなどの母親も“そうやってきている”と言われたりする。
母親は“どんなことがあろうと、そばに居て、子供を可愛がるものだ”という幻想すらある。
吉本隆明氏は、こういった社会がよってたかって作り上げる幻想のことを“共同幻想”と呼びました。人は時に、その共同幻想に押し潰されそうになる。どうにも苦しいことがある。
何事にも“程度”というものがありますよね。

B子さんに言ってあげたいですよね。
そうでなくていいんですよ。

B子さん曰く、
「ただ、子供はまだ12歳の思春期のど真ん中だから、親から“愛されていない”とは思わせたくない。」

・・・お二人の、この先の星並びの中で、気になる時期があるのですよ。
来年の4月ですね。
まずはB子さんの来年2022年の4月1日のホロスコープ
B子さんの20220401注目するアスペクトは2つ。B子さんの木星♃、土星♄、海王星♆と、現行の木星♃、海王星♆が強い吉角のグランドトラインができています。木星♃×海王星♆の吉角を、私は“バブル星”と呼んでいるけれど、“浮かれる”“ちやほや”される状態になっていることを意味します。もしくは苦しい状態にあった人は、“解放される”“ほっとする”ということにもなります。土星♄も掛かっているので、人に言えないような“こっそり”という状態になっていることでしょう。“こっそり、浮かれる、ほっとする、解放されている”ということですかね。
もう一つは、B子さんの金星♀と現行の金星♀、火星♂、土星♄の180度凶角。金星♀×土星♄の凶角を私は“快楽ざる星”と呼んでいますが、好きな事に歯止めが効かず、没頭してしまう状態を意味しています。もしくは、“肩の荷が下りて、気楽な状態”を示しています。
また、ちょうどB子さんの月☽の上で新月(太陽☉と月☽が重なった状態)が起こっており、月☽は心、新月はものごとのスタートを意味しますから、心の面での何らかのスタートが起こるのかもしれません。

B子さんは、春になれば、今の追い詰められたような状態からは脱することができそうな星並びですね。
少なくとも、今よりはかなりメンタル的に楽なのでしょう。今が異様に厳しいですから。

一方、息子さんですが・・・
息子さんの20220401もともと息子さんの太陽☉、月☽、木星♃、海王星♆のTスクエア上に、現行の金星♀、火星♂、土星♄が乗ってきます。7つの星のTスクエアですね。金星♀×木星♃の凶角も、木星♃×海王星♆の凶角も、どちらも“疎遠星”です。人が去っていったり、自分が去っていったりして“独りぼっち感”が出てきます。ダブルで疎遠星なので、強く出そうですね。
もう一つの注目のアスペクトは、息子さんの水星☿、火星♂、土星♄、天王星♅のTスクエア上に、現行の木星♃、海王星♆が乗ってきます。6つの星でできたTスクエアです。
木星♃と土星♄の凶角を、私は“お金貯まらない星”と呼んでいますが、出費が多かったり、失うものが大きかったりします。これは両方のTスクエアに含まれていますね。
土星♄×海王星♆の凶角アスペクトを、プレッシャー、重圧かが掛かる時期なので、私は“いじめられ星”と呼んでいます。上にも書きましたが、火星♂×土星♄の凶角は“我慢星”と呼んで、ストレスが溜まりやすい時期です。この時期は、火星♂×土星♄×海王星♆が凶角になっていますね。つまり、“我慢を強いられて、ストレスがかかって、メンタルがやられる”時期ということですね。こちらも両方のTスクエアに含まれていますね。
まとめると、それぞれダブルで、“独りぼっち感”があって、“大きなものを失って”、“我慢を強いられるようなストレスが掛かる”の星並びがあるということになります。

B子さんはずいぶんと楽になりますが、息子さんはむしろダメージが増しています。

来年の春、新年度が始まる頃に、一緒に暮らす母と息子で、こんなにも違う星並びができてしまう。

残酷な言い方ですが、
何らかの形で、B子さんは“お手上げ”にしているのかもしれませんね。