父と娘の婚活ラプソディ
Sさんは31歳で、母を亡くすにはちょっと早い方ですかね。
お母さんは、ガンを患っていて昨年亡くなったそうなのですよ。
Sさん自身も淋しさがぬぐい切れていないのですが・・・もっと大きな問題は、父親が独りものになってしまったということなのでして。
Sさんは父親とは一緒に暮らしているけれど、やがては自分も出ていくだろうし、そうなれば、父親は独居になって・・・。
父親は、電気工事の会社を1人で経営しているけれど、開店休業の状態。お母さんの介護のために、家事も病院通いも頑張ってこなしてきたのだけれど、母を亡くしてからは、まったく気が抜けて、毎日ボーっとテレビを観ているだけ。外に出るのは、朝10時前にスーパーに買い物に行くことぐらい。
まだ60代前半でこれでは・・・この先がどうなってしまうのだろうと、父に再婚を勧めるも、昭和の男で、不器用で、どう動いていいか分からない。
そこで、Sさんは一緒になって、高齢者向けのマッチングアプリを使い始めたという。
Sさんは横浜市在住で、医療事務をしている。たいがい恋の話で、年に1,2回鑑定しているリピーターさん。今回の鑑定依頼も、また恋の悩みかと思ったら、上のような話で、お父さんの話だったのですよ。その前は、確か、お母さんのことも鑑定しましたけどね・・・今度は引き続き、こういった話の展開になるとはね。
Sさんが、マッチングアプリ用のお父さんのプロフィールを作成するに当たり、白髪の多くなった髪を整え、爽やか目のシャツを着せて、晴れた日に公園に行って、背景にきれいな緑が入りように写真も撮ったり、親しみやすいチャーミングな紹介文章も書いたりして、なかなか尽力されたのですよ。
お父さんは仕事ばかりやってきた人間だから、女心なんて全く分かっちゃいない。だから、チャットの返事もおどおどして、指が全く進まない。仕方なく、Sさんが一緒になって、チャットしていくしかなかったのですけれどね。
父娘の二人三脚でやっているから、相手選びも、Sさんのお目にかなった女性に絞られてくるわけですが・・・そんな努力の甲斐があって、何度か、お見合いにまで進展することができ、数人の女性と会うことが出来た。
で、最近知り合った女性Jさんと、実際に2人きりで会ってみると・・お父さん、結構、気に入ってくれたみたいで、残りの人生の良きパートナーを見つけたと、浮かれ気分になっていた。
そのお相手のJさんは、お父さんより2つ年上。夫をやはり病気で亡くされたそうです。
Jさんも家に遊びに来るようになって、Sさんもお会いしたという。
で、Sさん、私にその女性Jさんとお父さんの相性鑑定を依頼されたのですが、これがなかなか良いのですよね。そのホロスコープを紹介しましょう。
相性は2重円で鑑定しますが、内側がJさん、外側がお父さんです。
本人が特定されることを防ぐため、生年月日は記載しません。
【ここでホロスコープ初心者の方のためにアスペクト(角度)のことを簡単に伝えると、星同士の角度が0、60、120度の時は“吉角”と言って、良い働きをする角度。90、180度、つまり直角か、真裏に星が来ると、“凶角”と言って、強く出過ぎて、害になりやすい影響を与えやすい角度。詳しくは私のサイトを見てね。】
Jさんの金星♀、火星♂とお父さんの水星☿、木星♃、海王星♆がグランドトラインという正三角形を作っていますね。ちょっとこの2重円のチャート図では、正三角形というのが分かりにくいですが、位置的に正三角形ということです。グランドトラインは、120度吉角が3つ組み合わさった強い吉角であります。
いくつか目立つアスペクトを解説しますと・・・
水星☿と金星♀の吉角は、コミュニケーションに楽しさがあるという意味で、私は“おしゃべり星”と呼んで、話が盛り上がる関係になります。
金星♀と火星♂の吉角は、マークを見れば分かりますが、オスとメスの関係で、私は“エロ星”と呼んでいます。恋愛をしやすい関係であります。
金星♀と木星♃は愛情星と呼んでいますが、すぐに親しくなりやすい相性です。
金星♀と海王星♆は美的センスが刺激され、おしゃれ、色気を感じる相性となります。これもまた恋愛につながりやすいアスペクトです。
他にもアスペクトがありますが、これだけでもなかなか良い相性だということが分かりますね。
なるほど、これだけあればね、お父さんも一度会うだけで、相手のJさんのことが気に入るわけですよ。
良かったですね。これでお父さんも元気を取り戻せそうじゃないですか。良いパートナーと結ばれそうでね、
となったのですが・・・。
どうも話をしていて、Sさんの様子が、素直に喜んでいない。
お父さんが再婚して、Jさんが母親になることに違和感があるのかしら、と勘繰ったりしましたらね、
「私も、Jさんのことが気になるんですよね。」
ですって。
私はSさんのことをこれまでに何度も鑑定してきて、恋の悩みを聞いてきて、いつもなかなかいい相手に巡り合えないなぁ、なんて話を聞いてきたのですけど・・・
実はSさんはレズ、LGBTなんですよ。
最近も出会いを求めて、レズビアンバーに行ったりして、お店の人と恋に落ちては、失恋したり、というようなことを繰り返していてですね。
で、Sさん、このJさんと会った時に、どきどきしたんですって。
え、まさか、そう来ましたかの展開ですが、ここでSさんとJさんの相性も解説していきましょう。
Sさんの水星☿、金星♀、木星♃とJさんの木星♃、冥王星♇が重なっていて、さらに90度凶角位置にJさんの月☽と土星♄があります。(紫色のライン)
重なっている部分を見ると、お父さんのJさんの相性で解説した、金星♀と木星♃の吉角の愛情星もありますね。水星☿と木星♃の0度はコミュニケーションがよくできて、話がよく通じる相手となります。
で、90度凶角部分を見ると、Sさんの金星♀とJさんの土星♄が凶角を形成していて、私はこのアスペクトを“快楽ざる星”と呼んでいます。一緒にいると、趣味や快楽に対して律する力が失われ、抑制が効かなくなります。油断して、不倫しやすい相手とも言えます。
チャート図にはラインは引いていませんが、よくよく見ると、Jさんの金星♀とSさんの土星♄も150度というマイナーな凶角アスペクトを形成していますね。ダブル“快楽ざる星”とも言えるかも。
まぁ、その他にもSさんの火星♂とJさんの太陽☉、金星♀も90度凶角の“エロ星”を形成していますしね。エロ星は、凶角の方が引き付け力は強くなります。(緑色のライン)
Sさんだけは生まれた時間が分かっているので、ハウスのチャートを作ることができます。そこで、相性鑑定に重要なMC、ASC、IC、DSCを見てみると、SさんのIC(精神世界を意味する)の位置にJさんの太陽☉と金星♀があることが分かります。SさんにとってJさんは、これは恋をしやすいし、メンタル的に支配されやすい相手となります。まぁ、心奪われる相手という感じですかね。
お父さんとJさんはグランドトラインという強い吉角で円満な感じの、良い恋愛の相性だったのですが、SさんとJさんは、危なっかしい恋愛の相性という感じですかね。
お父さんとマッチングアプリで知り合って、お見合いをするくらいだから、おそらくJさんはレズではない。Jさんには、自分と同じくらいの歳の娘さんがいらっしゃるという。もう結婚していて、幼い孫もいると聞いた。
そんなんだから、このSさんの恋心は実るはずはない。ていうか、そもそもお父さんの相手ですしね。
でも、SさんはJさんと接していると、どうしてももっと近づきたいという感情が抑えきれなくなってくる。
一方、お父さんとJさんが仲良くしていると、ふつふつと嫉妬心が出てきてしまう。Sさんはお父さんのことも好きなので、この嫉妬心はどちらに対してのものなのか・・・両方に対してかも。
この恋心はやり場がない。失恋したわけでもないのに、傷心しているのですよ。
Sさん、仕方なく、家を出て、一人暮らしすることを計画中。
レズビアンバーで飲んだくれる。