家を探す旅 ~建物との相性鑑定~

もう5年も前の話になりますが、馴染みのお客さんに紹介され、あるご夫婦に鑑定したのですよ。

引っ越しを考えているが、どちらの物件を選んだらよいでしょうか、というものでしてね。で、それらの物件の情報を拝見させてもらうと、どちらも東京都心の賃貸マンションで、一方はよく名の知られたタワーマンション。もう一方は築年数が30年以上も経つ、古いけど、個性的な物件でした。その2つの建物は数百メートルしか離れておらず、駅などは同じですから、環境的にはほぼ一緒で、なるほど、悩ましかったのでしょう。

なんでも、その頃住んでいた家の周囲に商店街があって騒がしく、ストレスが多かったという。で、引っ越すことにしたと。
奥さんはヨガのインストラクターをしていて、旦那さんは会社経営者。お2人とも50代でしたね。

人間同士との相性を診る場合は、生年月日を使います。会社や学校との相性の場合は、設立年月日を。で、建物の場合は、築年月日で鑑定していきます。

で、よく名の知られたタワーマンションとの相性は、旦那さんとは、贅沢をし過ぎている星並びができていたんですよ。身の丈を越えていたのでしょう。奥さんの方はテンションが上がるようだったのですが・・・。

で、もう一方の古いけど、個性的なマンションの方は、旦那さん、奥さんともに相性がよかったんですよね。
まぁ、どんなふうに良かったかというとですね・・・

で、いつものようにホロスコープを使って、まずはそのマンションの性質を診てみましょう。

特定されることを防ぐため、奥さんの生年月日や物件の築年月日などは記載致しません。
今回のブログでは、長くなるので、奥さんとの相性だけを紹介させてもらいます。実際は、旦那さんとの相性もちゃんと鑑定していますけどね。

【ここでホロスコープ初心者の方のためにアスペクト(角度)のことを簡単に伝えると、星同士の角度が0、60、120度の時は“吉角”と言って、良い働きをする角度。90、180度、つまり直角か、真裏に星が来ると、“凶角”と言って、強く出過ぎて、害になりやすい影響を与えやすい角度。詳しくは私のサイトを見てね。】


このマンションのホロスコープは、金星♀、木星♃、土星♄、天王星♅が120度吉角にならんでいます。金星♀と木星♃の吉角アスペクトは、人気運、家庭運、愛情運などを意味します。温かみのある居心地の良い住宅なのでしょう。さらに土星♄も加わって吉角で並んでいますので、落ち着き、癒し、堅実さのあるように思われますね。

全体に、凶角がほとんどなく、まったりとした穏やかな環境でしょう。
目立つとか、派手さはないけれど、住んでいるには気に入られやすいマンションなのでしょうね。

で、続いて、奥さんとの相性を診ていきましょう。

相性を鑑定する時は、2つのホロスコープを重ねて、主にアスペクトを見つけて判断していきます。

内側がマンションで、外側が奥さんです。


120度吉角が3つ重なると、正三角形のような形になります。これは強い吉角で、グランドトラインというのです。2つもありますね。

1つ目(黄色のライン)は奥さんの水星☿、金星♀とこのマンションの金星♀、木星♃、土星♄、天王星♅が形成されていて、これは親しみや癒しを感じることでしょう。そもそもこのマンションが金星♀、木星♃、土星♄、天王星♅の120度吉角を持っていますからね。住み心地がそもそも良いのでしょうが、そこに奥さんのコミュニケーション、快楽の星が上手く調和しているということです。

2つ目(ピンク色のライン)は奥さんの月☽、火星♂、木星♃とマンションの水星☿ですね。コミュニケーション力や情報発信力がアップすることでしょう。

で、ここでは省かせてもらいますが、旦那さんとも財運、仕事運がぐっと上がる星並びができていて・・・まぁ、そうなると、私はこちらの古いですけど、個性的なマンションの方をお薦めしたわけですよね。

その後、ご夫婦はこのマンションに契約し、引っ越すのですが、快適で、マンションのご近所さんとも仲良くいられて、静かな環境で満足いく形となりました。めでたし、めでたしと。

で、数年経ち、今度はそろそろ還暦も近くなってきたので、老後のことも考え、賃貸ではなく、一戸建てを購入したいとなったわけですよ。

そこで前回上手くいった私にまた鑑定依頼が来たのですが・・・なにせ、今のマンションとの相性がかなり良い

男でも、会社でも、相性の良い相手なんてそんな簡単には巡り合えないのですよ。木星♃や金星♀といった吉星が入ったグランドトラインが2つもできるなんて・・・ちなみに、こんな相性の男性と結婚出来たら、かなりハッピー度が高いですよ。

できれば、今より良い環境で生活したいというのは、誰もが願うところですが・・・かなりハードルを高く上げてしまったわけですよね。

というわけで、一昨年から、この奥さんの“家探しの長い旅”が始まったのであります。

奥さんが多数の物件の情報に目を通し、実際に現地に見に行ったのは30軒以上。さらにその中で気になった物件だけを鑑定しましたが、それだけでも十数軒になりましたね。

その中でも特徴的だったのは、こちらの物件。郊外の一戸建です。中古ですね。ちなみに今回鑑定事例で紹介していくのはすべて中古物件です。

まずは話を聞く前に築年月日だけが送られてきました。

そこからこの家をホロスコ―プで読んでみますと・・・


もともとこの物件の星は偏っているんですよね。ただ集まっている星が太陽☉、金星♀、火星♂、天王星♅、海王星♆ですから、“文化的な刺激が強くて、華やかさ”があるんじゃないですかね。ただ土星♄と冥王星♇の凶角90度もあるので、やや面倒なこともありそう

で、次に奥さんとの相性を鑑定してみますと・・・。

内側が家の築年月日。外側は奥さんの生年月日で作られたホロスコープであります。


ちょうど家の集まっている星々の真裏(180度凶角)に、奥さんの太陽がある。そして奥さんの月とはTスクエアを形成している。(ピンク色のライン)

また奥さんの水星☿、金星♀とTスクエアを形成する位置に土星♄と冥王星♇がある(水色のライン)。Tスクエアとは180度凶角と90度凶角が合わさった強い凶角です。金星♀の凶角は遊び過ぎるという意味があるので、本人は楽しかったりもするので、必ずしも悪い意味ではないです。

う~む、これでは、趣味や知識面でのオタク度が暴走してしまうかもしれない。この家が持っている土星♄と冥王星♇の凶角90度という面倒な星並びは、奥さんの水星☿、金星♀と絡んでいるので、その面倒さを楽しんでしまうかもしれないということです。

で、実際はどんな物件かというと・・・

郊外にあるのですが、建物はおしゃれなデザインで、日当たりが良好だそうで。
ただ何といっても、裏に縄文土器の遺跡関係の公園があるそうです。そこには2000年以上昔、何百もの人が暮らす集落があったという。木の実を採集したり、イノシシを狩ったり、祭りをしたり・・・。なんともロマンが溢れていますね。

で、奥さん、“毎日、縄文時代に想いを馳せて生活できそう”ということで、テンションが上がっていたそうなのですが・・・。

奥さんには刺激的なようですが、旦那さんとは特の良い星並びが無いせいか、縄文土器は彼の琴線にはまったく触れなかったのでしょう。家の敷地から土器、遺跡が出てきたら面倒だということで、夫婦の話し合いの末、却下となりました。

で、次の物件です。
まずは家のホロスコープを眺めていましょう。


この家もやや郊外にあるものだそうですが・・・内側だけ見ると、太陽☉、火星♂、木星♃、海王星♆が凶角90度に並んでいて(黄色のライン)、“かなり調子に乗っているというか、やり過ぎているというか、暴走していますね”。金星と天王星が180度凶角に並んでいて(水色のライン)、“変わった趣味”になっていますね。

で、鑑定前に、私が奥さんに“この建物は変わったデザインか、嗜好があるかもしれませんね。”とメールで尋ねると、「さすがです! 西洋風建築でロケーションもなかなか無い物件です。」という返事が返ってきた。

で、実際のこの物件はいうと、100坪の畑のあるメルヘンなヨーロッパ風の建物なんですって。肉が焼けるオランダ製の暖炉もあるという。

で、相性を診てみましょう。
内側が100坪の畑のあるメルヘンな家で、外側が奥さんのホロスコープです。


この家の“変わった趣味”である金星♀、天王星♅の180度凶角が、奥さんの太陽☉が絡んで、Tスクエア(水色のライン)を形成しています。奥さんは、この建物の“変わった趣味“に引っ掛かってしまったのでしょう。

次に、奥さんの月☽、木星♃、土星♄、天王星♅、冥王星♇が家の太陽☉、火星♂、海王星♆という8つの星でグランドクロス(十字架:紫色のライン)という強い凶角が形成されています。8つのグランドクロスなんて、猛烈に強い凶角です。全部のアスペクトをここで解説するのは不可能なのですが・・・まぁ、一言で言えば、ヨレヨレになるほどハードワークになるでしょう。

ただ強い吉角、強い凶角ができると“腐れ縁”度が増すのです。

また凶角は“刺激的”という意味もあって、もともと凶角が多い奥さんは刺激を求める傾向が強くて・・・その部分は合致するのでしょうが・・・。

奥さんは、自家菜園でオーガニックな野菜を育てたいという、ほのかな夢を以前から抱いていたそうです。自分で育てた安全で新鮮な野菜を口にして生活する。それがかなうというので興奮したそうです。現地を見学した時に、広がる100坪の畑を見て、麦藁帽をかぶって、みずみずしく育つ野菜たちに話しかける自分を想像したという。

ですが、100坪って、まぁ、なかなかやっぱり大変ですよ。草むしりとか。耕すとか。
まぁ、ホロスコープを見ても、これはヨレヨレになるくらいハードワークになりそうなので、お薦めはしませんでしたね。旦那さんの意見としては、建物を合わせて150坪となると、固定資産税も多く、将来的には売ることがかなり難しい物件だろう、いつかは負の不動産になるかもしれない、ということで、却下されました。

家の個性的が強いと次に売るのが大変ですからね。

で、今度は不動産屋さんがお薦めの人気のマンションを見てきたそうです。これはそのマンションのホロスコープです。


月☽、木星♃、冥王星♇のグランドトライン(緑色のライン)があります。木星♃と冥王星♇は高い財運を意味するので、“ミリオネア星”とも呼ばれますが、これはミリオネアグランドトラインですね。
将来的には資産価値が上がっていく物件なのかもしれません。

さらに金星♀と冥王星♇の180度凶角(オレンジ色のライン)があります。これはかなり贅沢感があることでしょう。

で、実際、この物件は人気エリアに立地するタワーマンションなのだそうです。ロビーからゲストルームまで全てに渡って、ラグジュアリー感が満載なのだという。周囲にはメディアも注目するレストランやショップも揃っているそうで。で、担当者は熱心にその点をアピールしてくるのだそうです。これならば、将来的には売ることも簡単でしょう。

で、相性を鑑定します。内側がこのタワーマンションで、外側が奥さんです。


注目するのは、太陽☉、金星♀、土星♄、海王星♆のグランドトライン(水色のライン)ですね。グランドトラインができていれば、なんでもいいかというとそうでもない。金星♀と土星♄は、癒し感はあるのですが、私はこれを“ときめかない星”とも呼んでいます。恋愛で言えば、ドキドキしない相手なのですよ。
つまりこれは、ときめかない星のグランドトラインなんですよね。

で、奥さん、やはり人気物件なのは見れば分かるし、セレブ、ゴージャスな感じも理解できるのですが・・・彼女にとっては惹きつけるものではなく、まったくワクワクしなかったそうです。
他人に羨まれるようなマンションに住んでも、本人が魅力を感じないと買う気にはなれないですよね。

もう一つの注目の星並びは、マンションの木星♃、土星♄と奥さんの月☽、木星♃、土星♄、天王星♅、冥王星♇でグランドクロス(十字架:紫色のライン)を形成していることです。木星♃と土星♄の凶角を私は“お金貯まらない星”と呼んでいますが、出費が多くなりがちです。お金貯まらない星のグランドクロスですね。ほかに財運の上がる星もありますが、さすがに7つの星でできていますから、それなり出費の多い、つまり彼女にとってはきつい出費となるマンションなのではないですかね。管理費、維持費が高いのかしらね。

そもそもときめかないマンションに、そんなに高額なお金を支払ってまで購入する意欲は湧かないことでしょう。

で、この奥さんと旦那さんは
そんなふうに、何十軒も見て回り、その建物の個性、キャラクターや相性を確認するように鑑定しているうちに、

自分はいったいどんな家に住みたいのだろう。

住むことに求めるものは何なのか。

という根源的な関わる問いにぶち当たっていったのですよね。

不動産屋さんと接しているうちに、投資用の不動産の話とかも来たりして・・・でも、相性を診たら、財運を落とすものだったり。

大きなストレスの掛かる相性の星並びがあると思ったら・・・近くに大きな携帯電話用の鉄塔があって、奥さんは電磁波が苦手なので、これのことかと合点がいったり。

そんな長い長い旅を経て、先月、ついにある物件の購入を決心しました。
これがその物件なんです。


金星♀と冥王星♇が重なっています(黄色のだ円)が、これは贅沢感を意味していますね。凶角ですと、出過ぎるのですが、0度ですから、ちょうどいいくらいに贅沢感があるのでしょう。ただ木星♃と冥王星♇の180度凶角(水色のライン)“大判振る舞いの星”もありますので、それなりに金額的にも値が張るのでしょう。木星♃と海王星♆の120度吉角(ピンク色のライン)もあります。木星♃海王星♆の吉角は、陽気さ、明るさ、高い評価があることを意味しています。

エリア的には、ちょっぴり高級な住宅街なのだそうです。やはりおしゃれな造りの建物だとか。この家はメインの通りより少し奥にあるそうで、静かな環境らしいのです。

で、奥さんとの相性を診ると・・・内側が家で、外側が奥さんです。


金星♀と土星♄の凶角90度が2つもあるのですよ(水色と紫色のライン)。

金星♀と土星♄の凶角を私は“快楽ざる星”と呼んでいますが、あまり注意されない環境となります。言い換えるならば、周囲から干渉されず、自由さがあるということですね。お気楽ということです。でも見方を変えれば、堕落したり、だらしなくなるかもしれません。

家と家との間隔が広く、さらに立地が1つ奥に入っている分、気兼ねなく自由にヨガや趣味のダンスができそうという。

また奥さんの火星♂、家の木星♃、天王星♅でグランドトライン(黄色のライン)ができており、これはくじ運、勝負運をアップさせる星並びであります。

旦那さんとも財運、仕事運がアップする星並びがあって、強く害になりそうな星が無い。

ということで、このご夫婦は今月、無事、契約にされました。
ついにお二人は旅のゴールに着いたということですね。めでたし、めでたし。
軽くリフォームをして、7月に引っ越すのだそうです。

どんな家に住めば、自分は幸せになれるのか。

まぁ、結局、そこんところを考えるのは自分自身なんでしょうね。

財運がアップして、家庭運もアップして、日当たりが良くて、駅に近くて、近所が仲良くて・・・そんなのが全部そろっていればね、幸せなんでしょうけど・・・それも違うかな、人は住環境に求めるものが違いますからね。
山奥のぽつんと一軒家の方が幸せな人もいるわけですしね。
そもそも、婚活の男性選びといっしょで全てが揃う相手と出会うなんて、到底無理な話ですよ。

じゃ、自分は住居に、何を求めるのか。
いくつも物件を見て回るうちに、絞り込んでいくのでしょうね。

奥さんにとっては、自由さとか、お気楽さだったのでしょう。

メールにはこんな言葉がありました。

“新しい家で、更に自由やりたい放題やってやろうと思ってます。”

自由 = 自分の新しい可能性を広げられる環境 を求めていたということでしょうね。