毎日が必死過ぎたシングルマザーの話


T子さんは、私の鑑定のリピーターさんで、10年くらい前にはホロスコープ講座にも出て頂いたこともあった。
でも、7,8年間ぐらい、しばらく連絡が無かった。子育てが、目が回るほど大変だったという。

で、今年になって、久しぶりに鑑定の依頼を受けた。

T子さんと息子さんのホロスコ―プを診た。
これは結構、珍しい星並び。相性鑑定をするための2重円のホロスコ―プで見ると、
金星♀と冥王星♇の180度凶角が2つもある。


相性鑑定の場合は、内側と外側にそれぞれ鑑定したい人のホロスコ―プを描き、そのアスペクトなどを見て、鑑定していく。内側が息子さんで、外側がT子さん。
個人の特定を避けるため、生年月日は秘密であります。

【ここでホロスコープ初心者の方のためにアスペクト(角度)のことを簡単に伝えると、星同士の角度が0、60、120度の時は“吉角”と言って、良い働きをする角度。90、180度、つまり直角か、真裏に星が来ると、“凶角”と言って、強く出過ぎて、害になりやすい影響を与える角度。詳しくは私のサイトを見てね。】

外側(T子さん)の金星♀と、内側(息子さん)の冥王星♇が180度凶角を形成しています。
一方、内側(息子さん)の金星♀と、外側の火星♂、土星♄、冥王星♇が180度凶角を形成しています。

金星♀と冥王星♇の180度凶角は、相性の場合、“徹底した愛情”とか“身の丈を越えた贅沢”といった意味があります。
親子の相性でこれができると、“溺愛する”という意味にもなりますが、多くの場合は教育費に多くの費用を費やしていたりします。その金額が結構、身の丈を越えていたりします。

でも、2つもこの金星♀と冥王星♇の180度凶角ができるとどうなるか。

冥王星♇はエネルギーが強過ぎて、“振り回す”“振り回される”“強制する”“やらなければならない”といった意味もあります。
同じアスペクトが2つもあるというのはレアケースなんですよ。だから、私もどんな風にでるのか、実際に見ていなくて・・・よく分かっていない。

ということで、まぁ、実際のお話をしましょう。この星並びの1つの例とお考え下さい。
ここから、T子さんと息子さんのお話。

T子さんは現在、40代。シングルマザー。
息子さんは生後まもなく、ある国指定の難病に罹っているとわかった。
個室に隔離された状態で2ヶ月間、入院。数万人に1人くらいしか掛からない病気だ。かかった子の8割以上の確率で、何らかの障害が出るという。

幼い時に出た症状は、ぼーっとした顔で手足をかくん、かくんとするけいれん発作。いわゆる、てんかんの症状。脳波異常が原因ということだが、手足をばたばた動かし、ずっと泣いていたという。なんだか、身体のどこかが痛そうなのだ。

この難病は、対処せず放置するとだんだん表情がなくなり、発達も後退し、重篤な障害に至ることもあるという。
息子さんは発見が早かったため、治療を受け投薬を始めてからは脳波も比較的安定し、ずっと発作自体はなかった。だが、投薬は続けなければならなかった。

そんな難病の息子さんを抱えて、よくシングルマザーになる道を選んだものだと思われるだろう。

T子さんの離婚した元夫は、家事もよく手伝ってくれる人で、疲労でなかなか朝起きられないT子さんのために、朝食も作ってくれた。目玉焼きにパンというくらいのものだったが、ずいぶんと助かっていた。

しかし、元夫はアスペルガーとか発達障害のようなところがあって、時々変な執着心があったり、立体のおもちゃなどを組み立てられない不器用さがあった。

息子の病気のこともあり、数日、T子さんは他県にある実家に帰っていた。元夫は一時的でもT子さんたちが自分の元を離れるのが嫌だったようで、すぐに追いかけてきた。執着心がそれほどに強かったのだ。
T子さんは驚愕して…実家前の路上でケンカになり、元夫がブチキレて暴れた。怖くなって実家内に逃げ込むと、門前で彼女の名前を大声で何度も叫んだ。近所の人たちが何事か怪訝な顔をして出てきた。

そんなことがあって、T子さんは離婚に至った。
今思えば、よく離婚なんて決断ができたなと、本人も思っている。子供のことで不安ないっぱいの生活に疲れて、後先のことをよく考えていなかったのかもしれない。

離婚は腕のいい弁護士さんのおかげで、思いのほか、順調に進んだ。

そして、元夫は意外にもすぐに再婚した。再婚するまでは執着がすごくて怖かった。再婚相手にすごく感謝している。元夫を引き受けてくれて・・・。

離婚した後は、実家で暮らした。
息子が難病を持っているため、なかなか保育園が見つからなかった。お寺が経営している保育園に情けで入れてもらった。そして、保育園の近くの職場で、求人している会社を手あたり次第に受けていった。建設会社でパートの仕事を見つけることができた。

その後、T子さんは仕事を転々とすることになった。T子さん、結婚する前は営業として働いていたものの、今はパートの仕事しかできず・・・同じ女性でも、同年代の人たちがだんだん仕事を任せてもらえるのが羨ましかった。

息子の様子は小学校入学時くらいには落ち着いていて、てんかんの発作も出ていなかった。
しかし、そもそも脳波の異常による病気なので、脳の発達に影響を与えることも多い。だから、Tさんの息子さんは、知的障害、発達障害まではいかないものの、常に育てにくさがあった。良く言えば、他の子とは違って、“ゆっくりと育つ子”ということだ。

息子さんは年長になっても「1、2、3、・・・」と数えることができなかった。T子さんは、入浴時、最後に肩まで湯船に浸かって、10まで数えて出るということを毎日していた。
だが、息子はいつも「7,3,5,9・・・」とかランダムに数え、数を1から言わなかった。

(以下、T子さんからのメールを紹介します。)

数の概念もないから当然何個とかもよくわからない。何回も「1から言うんだよ」と言ってもニコニコしてランダムに数を唱えた。
小学校入学も遠くないのにと匙を投げたくなりました。
何度も何度も話して、色々例え話もして、最終的には、保育園の背の順話に例えながら、数字は順番通りに数えないと困ることを伝えたら・・・1から数えるようになりました。なんとか数の概念もじきに理解しました。

幼い頃は特に、今日こそこの子を手放そうか、いやそんなことしたら次こそ人として終わる…その思考の繰り返しでした。


親はじめ身内はずっと私の再婚を願っていましたが、現実としてこんなこどもを抱えての再婚なんて私には考えられませんでした。ただひたすら経済的に自立することだけ考えてきました。


T子さん自身のホロスコ―プを診てみましょう。


彼女は、火星♂と木星♃と冥王星♇が重なっています。

火星♂と木星♃のアスペクトは、お金を得ることにワクワクし、勢いのある星並びです。勝負運があります。
木星♃と冥王星♇の吉角アスペクトは“ミリオネア星”と呼ばれ、大きな財運、仕事運を持っています。
火星♂と冥王星♇の吉角はパワフルさのある星並びです。

つまり火星♂、木星♃、冥王星♇が重なっているということは、平たく言えば、かなり“稼ぐ力”があるということです。

T子さんは建設会社の後も、いくつかの会社でパートを務め、その後、子供の調子が落ち着いたところで、フルタイムで物流会社に転職したのでした。これはかなり幸運だったと本人は語っていました。

収入は安定していきましたが、プライベートでは子供に振り回されたまま。

小学校に入っても・・・息子は、毎日、いつも忘れ物してました。ひとりで準備すると必ず忘れ物していたと思います。もう途中から放置してました・・・。
あと、ひとりで宿題ができなかった。学童の宿題タイムがあるのですが、いつもその時間内に終わらなくて、指導員さんについてもらって解いてましたが、それでも終わらない。自宅に持ち帰って一緒にやるけど、つきっきりでも本当にできない。

夜8時になっても、夜ご飯も疲れてできていない、むしろ家事なにひとつやれてない。

息子はまじめな性格なので、悲しくなって泣き出すし、私もイライラして怒ってしまうし、不登校支援もしている個別塾に通わせたこともあったのですが、焼石に水でした。

分からないことを教えてくれた友達から何気なく言われた「簡単だよ」ということばに傷ついたりしていました。
息子は劣等感が強かったと思います。精神的に不安定でした。
私も不安になり、それを感じて息子はさらに不安がる負のスパイラルだったはずです。

学校の勉強についていけないのに、小学校は義務教育だからって無理矢理通わせても、本人の自尊心を削るだけで、これはもうただの虐待なんじゃないか、もっと本人のペースで学べる場所に身をおかせてあげたいとフリースクールに目が行きました。
ただ、フリースクールも学校ではない(認可されてない)ため、不登校扱いになってしまうこと、フリースクール自体も経営が大変そうであることなど、これだという場所は見つけられずにいました。
知的に課題ある子が行くところでは息子にはイージーすぎたり・・・。

T子さんは収入面で何とか自立したいと頑張り続け・・・
物流会社に勤めている間、夜は、かつてホロスコープ講座で学んだ占星術を使い、ネット上で鑑定を始めた。この副業でそこそこ稼ぐことができたという。

さすが、稼ぐ力のある星並びを持っているT子さん。収入を徐々に増やしていくのですが・・・

副業以外で大きかったのは補助金です。たとえば失業保険の一種? ハローワークで「職業訓練」という公の制度があって、当時は条件を満たせば失業期間中のスキルアップ名目で半年とか1年とか学校に通って勉強しながら少なくない額のお金ももらえたんです。それで語学学校(外人の先生ばかりの英語漬け環境でしたし私も本気で取り組みました)で英語力アップでき、外資に行けた気がします。この説明、同僚達は唖然としますが・・・。

そんな流れでT子さんは外資系の会社で働けることとなった。
住居に関しては、T子さんは中古の一軒家をフルローンで購入し、最近流行のリノベーションをした。
建設会社に勤めていた経験が活きた。その頃のツテを活かして、業者を紹介してもらって工事費を安くしてもらったり、補助金申請書類を無料で書いてくれたりした。

T子さん、何とか、持ち前の強さでここまで辿り着くことができた。
でも、そんなことでは、悩みから解放されるわけでなく・・・。

外資に勤めてますとか、家買いましたとか、いくら見てくれ的なところを整えても、家に帰ったらマイペースに生きている子供がいるそれでも、自分の血を引くたったひとりの子供。外では涼しい顔してますけど、家に帰れば悩ましく全く情けないお母さんです苦笑。家に帰るだけで価値基準や人格をコロっと入れ替えられるほど器用でもありません。

みんな気を遣って「彼氏や再婚考えないの?」と聞いてくれるけど、誰がを好きだとかナントカその辺は、私にはキャパオーバーの話です。
仕事以外にも日々の家事とか息子のフォローとか…頭の中のCPUはすでに100%くらい使われてて、恋愛に割ける部分なんて全く見当もつかなさそうな人生で、うるせーよ、できるもんならさっさとしてるよ。

だが、風向きが変わってきた。

息子さんが小学校を卒業する頃に、医者を変えて、薬を辞めたら、カラッとした子になったそうだ。思い切って、学校も自由度の高い学校に入ったことも功を奏したようだった。

T子さんが調べてみると、今まで処方されていた薬はメンタルにくるケースがあるようで、最近はほぼ使われていないものだと知った。

息子さんは中学校には普通に通えるようになり、T子さんにも余裕がやっとでてきた。

昔は「ママがいないと死ぬ!」くらい私がいないとだめな子でしたが、さすがに年齢もあって? 
悪い薬が抜けたこともあって? 
最近はそんな様子全くなくなりました 苦笑 
ぜんぜん問題や悩みがなくなったわけではないけれど、最近は少し肩の荷が軽くなった気がしています。

たくさんのご縁とサポートとラッキーのおかげで今なんとか生きていますが、とはいえ離婚×難病障害なんてパンチ効いたことを共感しあえる仲間もなかなかいなくて笑、やはりどこか孤独感は拭えませんでした。

高校生になった息子さんは、すっかり元気になって、「はいはい、うるさい!わかったからもう止めて!」と言われるようになったそうだ。

冒頭で解説しましたが、この母と息子の相性には、金星♀と冥王星♇の180度凶角が2つもある。

この星並びが1つだと、“溺愛”という振り回され方をするが、2つともなると、力が強くなり過ぎて、上のような形になるのかもしれない。

やっと波乱の子育てが一段落して、余裕ができたせいか・・・
T子さんはある男性が気になるようになった。飲食店を経営しているそうだ。

ここでまたその男性とT子さんの相性を鑑定してみましょう。
内側が男性で、外側がT子さんです。


金星♀、火星♂、木星♃、冥王星♇でグランドトラインという強い吉角を形成しています。グランドトラインとは、120度吉角が3つ組み合わさった強い吉角アスペクトです。

金星♀と木星♃の吉角は、“愛情星”と呼んで、家族のような温かい愛情が生まれやすい相性となります。

また金星♀と火星♂のアスペクトを、私は“エロ星”と呼んでいます。そこに、恋愛に関しては、徹底的とか、SEXを意味する冥王星♇が加わると、異常に引き付け力が増してしまうことから、私はこの3つの星によるアスペクトを“変態エロ星”と呼んでいます。

また木星♃と冥王星♇の吉角アスペクトは、“ミリオネア星”と呼んで、大きな財運、仕事運があります。

このグラントトラインは、愛情星と変態エロ星とミリオネア星が重なった、めでたく強い恋愛の星並びなのです。

まだ他にもあります。


男性の金星♀と、T子さんの火星♂、冥王星♇が120度吉角を形成しています。
これは上で紹介した“変態エロ星”です。

つまり相性鑑定では、恋愛的に引き付け力の強い、変態エロ星が2つもできているということなのです。

また一方、T子さんの今の運気には注目すべき星並びがあるのです。

彼女のASC(アセンダント=ホロスコープ上の東の地平線)を現行の冥王星♇が通過しているのです。

時期の運気を診る時も、2重円のホロスコ―プを作成します。内側がT子さんで、外側が7月4日です。このホロスコープでは、生まれ時間のデータも使い(ホロスコープ全体は回転します)、ASCを表示しています。


ASCを冥王星が通過する時は“それまで押させていた欲望が噴き出す時”と言われています。
相手もバツイチだそうです。お子さんがいて、養育費を払っているそうです。2人は年齢も近く、40代半ば同士です。

本当は、ASCを冥王星♇通過する、欲望が噴き出す時というのは・・・冥王星♇が凶星だけに、良い結果が生まれるとは限らないです。

ですけどねぇ、まぁ、T子さんは20代終わり頃から40歳くらいまで、よく頑張りましたよ。

これまでの苦労を考えると、“欲望噴き出せぇ~”って、応援したくなるわけですよねぇ。



イラストはAIによるものです。