女の身体、でも内面は男。だから恋をするのはややこしい。

Gさんは女性の身体を持ってきて生まれているが、心は男性。
そういうタイプのLGBTである。今、30代。
LGBTの人というと、珍しがられる。でも、私は何人もの人を鑑定させてもらっている。
LGBTの割合は、日本の場合、人口の7.6%。その割合は、左利きや血液型ABの人と同じくらいで、実は一般的に感じているほど珍しくはない。およそ13人に1人。学校のクラスに2人くらい。
何ら、星並びに特徴があってもよさそうだが、残念ながら、私はLGBTの人に共通するようなものは見つけてはいない。
ただそれぞれに何らかの生きる姿はホロスコープには出てくる。
で、Gさんのホロスコープを見てみましょう。

ホロスコープチャートの一番下、ICにGさんの天王星♅と海王星♆がある。
ICとは、その人の超プライベート空間のことで、精神世界や家庭環境を示している。またICは生まれた時の地面の一番真下にあり、“人から見えない”ということも意味しており、そこにある星の感じを第一印象で与えることはまずない。本人か、家族、親しい友人しか、その性質を知らなかったりする。
そこに“個性的”を表す天王星♅がある。
また“コンプレックス”や“ナイーブ”を表す海王星♆がある。
つまり、Gさんは外には見せないが、自分のプライベートは、“個性的”と“コンプレックス”を隠し持っているという意味だ。
【ホロスコープ上のICと星の影響について、もう少し詳しく知りたい方は私のサイトを見てね。】
昨年、恋愛のことで鑑定をしたGさんの話をしよう。
Gさんは幼稚園の頃、母親の趣味で、女の子らしいふりふりの付いた洋服ばかり着せられた。
それが嫌で嫌でたまらなかった。
自分は女の子だとは思えないけれど、「あなたは男の子じゃない」とみんなに言われるから、きっと男の子でもないんだろう。
地方で育ったGさんは、子供の頃の趣味は虫取りで、他の女の子ような遊びをすることはなかった。男の子たちと一緒になって、背伸びしながら、木にしがみつくアブラ蝉やクマ蝉を取ったり、ギンヤンマを追いかけたり。でも、一番楽しかったのはザリガニ釣りで、男の子数人と釣りに行っても、負けないくらいに多く捕まえていた。
飼っていた虫やザリガニが、何かのきっかけで潰れたりすると、青い血が出てきた。
青い血で生きてるなんて、不思議だな。と思った。
そんな虫やザリガニの話を周囲の女の子に話せば、気持ち悪がられ、みなドン引きした。
それでも、何か動物をゲットすると興奮してわくわくした。ちなみに好きなゲームは、ポケモンだった。
肌は日に焼けて、汗をいっぱいかいて走り回っていた。
そうした中で、“やっぱり自分は男の子なんだ”と確信を持っていた。でも、一方で不安になりやすく、ぬいぐるみを手放せなかった。
身体が小さく運動が不得意で、よく泣いて、さらにいじめられっ子だった。
自分は男の子なんだと思っても、男の子らしいところを見せることができず、めそめそする自分を情けなく感じていた。他の男の子が「男の子なんだから泣かない!」などと叱られているのを聞くたびに、自分を責め、常に悩み苦しんだ。
思春期の前くらいなると、男の子と一緒に遊ぶというわけにはいかなくなった。男女は明確に線引きされるようになって、男子からは異性としての興味の対象となり、他の女子と“可愛らしさで”比較されたりした。女子同士でも“男子の誰が好きか”といった会話がされるようになっていった。どんな男子が好きかということを聞き出して、囃し立てるような空気に馴染めず、自分はどう振る舞っていいのか、いつも戸惑いがあった。
周囲の女子たちは、Gさんも同じように“男子を好きになる”と思っているだろうから。
さらに思春期になると、身体の性的な部分での成長への嫌悪感で息が詰まりそうになった。胸についてはやむを得ない時だけスポーツブラを着用し、普段は大きめの色の濃いシャツでごまかしていました。
自分は男なのに、身体はどんどんと女性として成熟していく。自分は抑えたくても、身体は暴走して勝手に先に進んでいくようだった。ギャップがどんどん広がっていく。
なによりショックだったのは、生理が始まったことだった。
両親にカミングアウトし、いつかホルモン治療を受けて生理を止め、男性らしい体に近づけたいと打ち明けたのは、中学1年生だった。
両親は、頭ごなしに拒絶されることはなかったが、生まれてから長年、娘として接してきた以上、いきなり今後息子にチェンジされても困るような戸惑いを隠せずにいた。身体のことを考慮した上で、ホルモン治療を受けることは反対した。
Gさんは将来、自分で収入を得るようになったら、治療を受けようと心に決めた。それまでは、女性の身体でい続けることに我慢することにした。
初めてお付き合いする相手ができて・・・相手は女性だった。
つまり彼女ができたのは、高校2年生だった。彼女と知り合ったのは、地元の同じ博物館の昆虫標本の制作イベントで一緒になったことだった。偶然、同じ学校だった。
自分を男性と認識しているGさんは、彼女に好意を持っていたが、そんな想いが実るわけがないと、片思いで終わらせるつもりだった。
でも、彼女の方から、Gさんに告白してきた。
その告白を受けて、お付き合いをすることになった。
彼女は女性同性愛者だった。
彼女はあくまでもGさんのことを“女性として”見ていて、恋愛をしてくれていたので・・・
内面は男性であることを隠して、Gさんは女性らしくしなくてはならず、ブラジャーをつけなければならない、などの辛いところもあったのだが、とにかく好きな彼女に離れていって欲しくない一心で耐えていた。
生まれて初めて、肉体で結ばれた。肌の温もりに心落ち着ける場所を見出していた。
その恋愛も大学進学で、お互いの距離が遠くなり、自然消滅してしまった。
その後もGさんは女性との恋愛を何度も繰り返していく。
そんな中で、大学時代にゲームの世界で彼と知り合った。一緒に組んで冒険を進めていくゲームだった。力を合わせて敵を倒したりしていった。
ゲームの世界はGさんにとって、心地が良かった。元々プレイヤーの男女は無く・・・というか、本当はおじさんでも女子として参加するような世界だ。LGBTのGさんにとっては、女性とか、男性とか、そんな性別を気にすることもなく、女性でいる必要も無かった。女性でいなければならない現実の生活が逃れられる場でもあった。それにゲームの中の冒険は、どこか、子供の頃に昆虫を探して林や森、川辺を駆け回っているのに似ていて、あの頃に戻れたようで嬉しかった。
彼とはリアルに会うようになり、大学時代を通じて良い友人でいられた。
ゲームのイベントや水族館へ行ったり。2人とも水の生き物を眺めるのが好きだった。旅行にも一緒に行った。ファミレスではドリンクバーで何杯でもおかわりをして、ゲームの話をし続けた。
そして大学の卒業間際に、告白された。
Gさんはやっと彼の好意に気が付いた。
Gさんは当時、他の女性と交際していた。また性同一性障害治療も始める前だったので、女性にしか見えない状態だった。そんなGさんは男性と交際する気もなかったので、「女性と付き合っている」とカミングアウトして断った。
彼は一瞬固まり、非常にショックを受けていたようだった。
Gさんは社会人になってホルモン治療を受け、男性に近い外見になっていったが、彼はずっと友人でいてくれた。
“やっぱりすごくいい友人だなぁと感謝はしつつも自分への恋愛感情はなくなったものだとばかり思っていました。”(メール原文まま)
Gさんは、カミングアウトした状態で他の男性と交際して、それでも女性扱いされたり。わがままな女性と交際して貢ぐ君のような状態になったり。自己肯定感がボロボロになって傷つく経験を重ねてしまう。
男性とでも、女性とでも付き合えるバイセクシャルに器用さを感じるのだが、そのあたりに関してGさんはこう語る。
“わりと肉体関係と恋愛感情を切り分けて考えるタイプなので、性欲を満たすためならどちらでもいいのですが、自分に好意を持って求めてくれている相手の好意を受け取るのが嬉しいという女性的な感覚もあるので、いずれにせよ男性でも女性でもどちらでもあまり違いはないです。”
Gさんは公務員となり、彼は商社に就職していた。社会人となっても、友人としてよく遊んでいた。
4年前に彼から、
「一度は振られたものの、その後もずっと好意を持っていてやっぱり諦めきれないので、もし今交際相手がいなかったら付き合ってくれないか」
と再び告白を受けた。
10年間ずっと自分に片思いをし続けてくれていた。
手痛い失恋をしたばかりだったこともあって・・・こんな自分にずっと好意を持って、優しくしてくれている彼の誠実さに惹かれて承諾した。
しかし、Gさんには悩みがあった。
まだ彼には、自分は男性であることをカミングアウトしていない。
“ホルモン治療を受け、男性に近い外見になってからも好意を持っていてくれたので、外見的なところだけで好きでいてくれているわけではないのだろうとは思いつつも、
やはり彼は、あくまでも女性としての自分のことが好きなのではないか、
戸惑って受け入れてもらえないのではないか、
どういうふうに対応すればいいか悩んで距離をおかれるのではないか、
自分さえ我慢すればこのままでいられるのだから言わない方がいいのではないか、
ずっと自分のことを大切に思ってくれていた人をこんなことで失いたくない・・・”
そんな恐れが頭の中でずっとぐるぐるしていたそうだ。自分が一人になって落ちていく夢を何度も見た。
そこで、Gさんは私に鑑定依頼をされたというわけです。
お二人の性格や今の運気もホロスコープで診ていますが・・・相性を診ると、まぁ、このカミングアウトは上手く行くだろうということが分かるのですよ。
ですから、ここでは相性鑑定のホロスコープを解説しましょう。相性鑑定では、2人のホロスコープを重ねて、星の絡み方などから関係性を見出していきます。
内側がGさんで、外側が彼であります。個人の特定を避けるため、生年月日は秘密であります。
【ここでホロスコープ初心者の方のためにアスペクト(角度)のことを簡単に伝えると、星同士の角度が0、60、120度の時は“吉角”と言って、良い働きをする角度。90、180度、つまり直角か、真裏に星が来ると、“凶角”と言って、強く出過ぎて、害になりやすい影響を与える角度。詳しくは私のサイトを見てね。】
【ホロスコープ上のMCと星の影響について、もう少し詳しく知りたい方は私のサイトを見てね。】

一目で分かるようなものですが、GさんのMC(ホロスコープの天頂)に彼の太陽☉、水星☿、木星♃があります。
自分のMCに相手の木星♃が乗っていれば、財運、仕事運を上げてくれる人。もしくは世界を広げてくれる人。
同じく、水星☿が乗っていれば、情報や知識を与えてくれる人。
太陽☉が乗っていれば、自分を引っ張ってくれる人。自分にとってリーダーになる人。
3つとも吉星であります。その3つの吉星が集まっていることも珍しいですが、その3つの星が自分のMCに乗る相手なんて、超レアものです。ラッキーパーソンでしかないですね。
それで、私はGさんにこの相手ならば、あまりタイミングを計ることをしなくても、おそらくあなたのことを理解してくれるでしょうと伝えたわけですよ。
Gさんは、本当は昨年10月に、彼にカミングアウトをするつもりでしたが・・・悩み続けて、結局先月になったそうだ。
“「実は性別違和があって。性別違和って知ってる?」…と切り出した時に、
「あー。察した」と笑いながら言われました。
元々大学時代に女性と交際していたことをカミングアウトしていたこともあり、なんとなく察していた&その時のショックに比べれば長年一緒にいて私のことを見ている分受け止める覚悟はできていたそうです。
「これからは男性として扱った方がいいよね」
「これまで無理させてたことがあったら言ってね」
「伝えてくれてありがとう。これからも他のことでも相談が必要なことがあったら遠慮なく伝えて共有してね」と言ってくれました。”
Gさんと彼は、今は結婚に向けて交際を進めている。
Gさんは、これから男であるのか、女であるのか・・・彼と結婚したいから、今は女の立場でいようと考えている。法律が変わって同性婚ができるようになるのを待ってもいいが・・・Gさんにはもうそんなことどっちでもいいことかもしれない。
“ホルモン治療を11年続けていて生理は止まっており、体つきもだいぶ男性的になっていますので現状としては満足していて、胸は元々潰せば隠れる程度に小さく、性器そのものへの違和感はそこまでないので、今後性別適合手術を受けて戸籍変更まで進める予定はありません。
そもそも相手が男性で同性婚も正式には認められていない現在の日本で、結婚するには私が女性のままでいることが必須ですので・・・”
結婚生活もあまり“結婚らしい”形には2人ともこだわっていないようだ。
“子供を作るかどうかについては、一応私に任せるとは言ってくれています。お互い仕事に趣味に忙しいので、なかなかちょうどいい場所の折り合いがつかずしばらくは別居婚の形をとる予定です。
プロポーズの時にこれまで以上に色々な場所へ一緒に行きたいと言ってくれたので、私もお互いの仕事と趣味を大切にしながら夫婦というより密な友達という感じで様々な経験を一緒に楽しんでいきたいと思います。”
2人の相性のホロスコープには、こういうアスペクトもあるのですよ。

木星♃と海王星♆の180度凶角。
私はこの星並びを“疎遠星”と呼んでいます。
忙しくてなかなか顔を合わせられなかったり、遠距離になりやすい相性であります。
彼はゲームの他に、コスプレという趣味も持っている。仲間と撮影するために週末になると、いろんな名所で撮影し、SNSにアップしているという。コスプレの中には、女装するものもあるそうで。どちらかと言えば、LGBTに理解のあるタイプなのではないかな。
“無理して女性らしくしなくていい、辛かったら伝えていい”
Gさん、彼となら、手と手を取り合って生きていけそうだ。
こんな超レアなラッキーパーソンはなかなかいないですからね。大事にした方がいい。
男女の肉体関係としては・・・
“セックスについては、元々性器そのものへの違和感はそれほど強くなく、女性相手でも受け身的でしたし、もし男性として生まれていても、きっと受け身的なセックスをしてるんだろうな、と思っているので、そのニーズを満たすのにちょうどいい女性器を使うこと自体には特に抵抗はないです。”
お客さんから“LBGT”の人の星並びってあるのですか? と訊かれることもありますが、
そもそもホロスコープを見ただけでは、その人が男性か女性かなんて見分けられない。
男性でも女性でもホロスコープに違いはないですからね。
宇宙の星々から見たら、男性とか、女性とか、LBGTとか、そんなことはどっちでもいい、ちっちゃな問題なのでしょう。
ホロスコープに描かれているのは、人間であって、その人の生きる姿で・・・
その中で、皆、幸せになろうと考え、必死にもがいているわけですよ。
イラストはAIによるものです。