キロンと火星
星占いの本やネットに載っている説の中には、当たっているものもあれば、そうでないものも多くある。書いている人は、星のイメージから、連想しているんでしょうけど、実際にはほとんどそんな現象は起こっていない、もしくは今の時代ではほとんど起こらない現象だったりする。
で、星占いを勉強するに当たっては、何が必要かというと、実際に書かれていることが当たっているかどうかを確かめる必要があるということ。自分なりにね。
たいていは、その説をまず自分に当てはめてみる。そもそも自分に当てはまっていないものは、信用できないし、それを他人の鑑定に使用することはまずできないですわな。
まず自分に当てはめてみて、それで当たっていたら、今度は家族や友人などに当てはまっているか、実際にフィールドワークして、“どのくらいの確立でその説、理論が使い物になるか”を見極めていくと。よく当たるものもあれば、ほとんど当てはまらない、全く当たらないものもある。
となると、そりゃ、まずはよく当たるものを知りたくなる。
で、私が実際に鑑定していてね、結構、よく当たると思われるものの1つが、火星とキロン(Chiron)の0度アスペクトなんですよ。重なっているということ。このキロンは小惑星で、といっても、彗星という面も持っている星で、発見されたのが1977年。だから、昭和の古い星占いの本にはまだ登場しなかったりする。そもそも歴史が浅いから、星占い上のデータが少ないのですよ。ホロスコープ上のマークとしては、kとoと縦に重ねたようなもの。言い方は変だけど、○の上にアンテナが乗っているような形。
最初の頃は“傷ついた”星とも言われ、今は“補完する”星とも言われている。補完するとは、補うという意味。たぶん、最初に欧米の西洋占星術師がその意味を語ったのだけれど、それがちゃんと翻訳されず、何となく“傷ついた”という言葉になって、日本に入ってきたのではないかな。そのうちにちょっと違うなぁという感じで、“補完”“補いたがる”のような日本語訳に置き換えられていったのではないかと予想がつくんですけどね。
しかし、本やネットの解釈を読んでいると、その“傷ついた”というイメージがどんどん一人歩きしているようにも見える。実際、私も最初の頃は、鑑定の時、“傷ついた”のイメージに引っ張られて、相手の言っていることとちぐはぐになり、上手く鑑定に使えなかったですね。
傷ついた=コンプレックス のように書かれていることが多いけれど、鑑定してみると、どちらかと言えば、“補いたがる”というニュアンスの方がピタッとくるような気がするのですよ。だから、最近は“補完”という言葉になってきたのかなという気もする。
で、生まれた時のホロスコープで、火星♂にキロンが重なっていると、どんな現象として現れるかと言うと、ジムに通っている人の確立がかなり高い。ジムというのは、身体を鍛えるジムのことですよ。私の鑑定の経験では、80%ぐらいかな。あくまで私見だけど、星占いの説の中ではかなり高い方だと思う。
“火星×キロン=ジムに通っている” で覚えてみましょう。
鑑定してみて、もし、その人の火星にキロンが重なっていれば、
「ジムに通っていませんか? もしくは、サプリメントをよく飲まれているとか。」
というふうに尋ねてみる。
ジムに通っている、通っていた可能性が80%で、サプリメントを飲んでいる可能性もかなり高く、両方合わせると90%ぐらいになるんじゃないかな。
先日鑑定した女性は、その夫のホロスコープの火星にキロンが重なっていた。だから、私の経験則通りに“旦那さんはジムに通っていませんか?”と訊いたら、やっぱり通っていた。で、娘さんのホロスコープを見たら、また火星にキロンが重なっていた。さすがに2度は早々当たらないだろうと思っていたが、その娘さんは腹筋オタクだった。あのテレビのCMでやっていた腹筋の鍛える器具を使っているそうで。
ジムに通っている人を想像してもらえれば分かるのだが、実際、私なんかよりも鍛えられたいい身体をしている。少し前の星占いのキロンの説明では、キロンは傷ついているので、火星(肉体、健康も意味する)にキロンが重なると、持病持ち、身体が不自由な人と説明されていたりしたが、実際には、ほとんどそんな人に会わない。むしろ、マッチョだったりする。
ちなみに、ジムとは限らない。地方の人の場合、ジムの環境が無かったりするので、“職場まで5kmを自転車で通っています。”という女性もいた。その人の場合は、車も持っているが、雨の日にしか、車で通勤することはないと言っていた。
健康に気にしているのは、これは肉体にコンプレックスを持っているからだとも想像できるが・・・、鑑定して、相手の話を聞いてみると、“コンプレックス”というマイナスな印象を持つ言葉をわざわざ使う必要はないように思えてくる。むしろ体を鍛えることをただ欲しているようなのだ。十分に健康だ。だけど、もっと鍛えたい、補いたいという欲求を持ってしまうのが、火星×キロンなのだろう。
キロンはどうも、“十分に持っていたとしても、尚も欲しくなる性質”と言えるんじゃないかな。
星と重なると、その星の性質に対して、もっと欲しくなる、飢えるというものになると。
例えば
水星☿×キロン は、かなりの読書家だったり、バックパッカー経験を持っていたりする。好奇心が強く、情報や知性がもっと欲しいとなるのだろう。
金星♀×キロン は、服やアクセサリーを多く持っていたり、部屋中に靴箱が溢れていたりする。美や快楽を求める欲求が強いのだ。実際、アクセサリー作家になっていたりする人も多い。
木星♃×キロン は、たとえ裕福であっても、お金への欲求が強かったりする。もっと欲しくなるという意味。木星♃×キロンの有名人としては、トランプ大統領ですね。
土星♄×キロン は、自分から責任、役割を背負い込む人です。“それは私に任せて下さい。それも、私がやります。”といった具合です。
太陽☉×キロン は、何に対しても、不足感を感じる人となりますね。だから、一見すると努力家だったりすることがあります。
月×キロン は、淋しがり屋ですね。心に飢えているという意味で。スピリチャル系の言い方をすれば、“ソウルメイトを求める人”となるでしょう。
まぁ、上の6つも結構当たるものですね。火星×キロンほどではないけれど、“その通りです”と言われることが確立が高いから、こちらも安心して言いやすいものです。
他にも、天王星×キロン(個性を求める人)、海王星×キロン(夢や感性を求める人)、冥王星×キロン(権力、破壊を求める人)というものありますが、ここまで来ると、そこそこしか当たらなくなりますね。
そもそも、天王星×キロンの人に、“あなたは個性を求めていたり、個性に飢えている人ですよね?”という質問を投げかけても、相手にとっては“???”だったりする。そんな気もするけど、どうなんでしょ、みたいな。リアクションが良くないのですよ。
上に書いたものは、キロンと0度で重なっている場合を書いたけど、説明してある本やネットによっては、180度でも同じような効果があると書いてあったりするが、実際には、当てはまる確率は半分以下になっていると思う。
MCにキロンが重なると、働きたがらないという説もある。これは働きたがらない人の都合の良いいい訳になっているかもしれせんが、当たっていないでしょうね。だって、私はMCキロンの人でも、創業社長としてバリバリ活躍している人を何人も見てきていますから。とある大手有料占いサイト制作会社の社長さんもMCキロンでしたよ。
星占いの説の中には、よく当たるものと、ほどほど当たるものと、まったく当てにできないものがあるということですけどね。で、星占いを披露する場合、やっぱり最初から当てていきたい訳ですよ。漫才、落語と同じで、頭の“つかみ”が大事なんですよ。始めから、外してばかりいると、お客さんにしろ、友人にしろ、“この星占い師、当たるのかしら?”なんて思われてしまい、話すことを信じてもらえなくなる。
だから、私なんぞは、経験的に当たりやすいものの順に話していくのですよね。
例えば、ハウスで言うなら、
木星が8室にあったら、遺産をもらいやすい人。
木星が12室にあったら、サイドビジネス、副業などで稼ぎやすい人。
土星が8室にあったら、会社、お墓や苗字を受け継いだり、親の老後の世話をする可能性の高い人。
金星が10室にあったら、人から趣味のような仕事だね、って言われるような職に就いている人。
太陽が12室にあったら、秘密主義者。もう一つの顔を持っていたりする人。
土星か海王星が11室にあったら、引っ込み思案、人見知りする人。
他にもあるけれど、この辺りが当たりやすいものですね。
で、これらで、ハウスはよく当たるじゃんと思って、他のハウスのも診ると、ほとんど当たらなかったりするものが結構ある。当たっているかどうかは、相手のリアクションを見ていれば、まぁ、分かりますよ。
さらに、中には当たっているか、当たっていないのか分からないものもある。星占いの説明の中には、
土星が5室にあったら、子育てで苦労する人。
というのもある。
だってさ、子育てで苦労しなかった人って、いないんじゃない? みんな苦労するでしょう。どの程度かということになるだろうけど・・・かなり苦労する人と言われても・・・その境目は?みたいな。
逆に言えば、これを言えば、当たるということでしょう。子育てしている人みんなに当てはまるんですから。
西洋占星術を学ぼうと、本などを買うと、その内容が均一にすべて正しいことが書いてあるように思えてくる。それは、他の一般書籍の内容がおおよそ全体的に正しいことが書かれているからであって・・・。資格取得のための学習書とか、パソコンの扱い方の本とか、新しい車のカタログ誌、旅行ガイドブックとかね。
本に書かれていることは正しいという、その先入観で、西洋占星術の学習の本を読むと、間違えるわけです。よく当たるものも、そこそこ当たるものも、ほとんど当たらないものも並列で書かれていて、同じように正しいと思って、覚えてしまう。しかし、実際に鑑定してみると、当たるレベルが玉石混合であることに気づくわけですよ。
本当は、説ごとにどの程度当たっているのか、☆の数で示してあったりするといいんだけどね。
でもそうじゃないから、西洋占星術の星占い師には実際に鑑定する経験値が重要となってくる。つまり、自分で見極めるしかないということですよ。
星占い師の仕事は、鑑定を依頼してきた人の悩みを聞いて、その人の問題解決の手助けをすること。
言ってみれば、カウンセリングのようなものだけど、そもそも占いそのものが当たっていないと信頼されず、悩みを打ち明けてはもらえない。現実には、悩みを誰かに聞いてもらうだけですっきりするお客さんも中にはいるが、それは、心理学の知識をもったカウンセラーに任せるとして・・・星占い師は、本人の性質、過去、未来を見通せないと、悩みの解決の手助けができない。
となると、星占い師は、よく当たる説を揃えておく必要があるわけで・・・だから、私は、自分がよく当たると思われるものしか、実際の鑑定では使用しない。
例えば、新型の機関銃が開発されたとして、テストもされていない機関銃を持って、IS掃討作戦に行けと言われても、困るのだ。砂漠の熱と砂で暴発するかもしれない機関銃で、実戦で戦うことは怖くてできない。
同様に、鑑定される方も、当たるのか当たらないのか分からない占いで、転職の時期や結婚相手との相性という人生の大事な場面のアドバイスをされてもね、困るわけですよ。当たるかどうか分からない占いなんかで占われてもね。
占う方がね、実戦に使えるかどうか、ある程度、自分で確認してからでなきゃ、使っちゃ、ダメということですよ。西洋占星術の本やネットをまるっと信じちゃ、ダメですよ。あくまで参考程度にすると。
でも、まぁ、とりあえず、自分の星占いが当たることを“まずは”相手に認めてもらわなきゃならない。最初に確実なパンチを打っていきたいわけですよ。
相手のホロスコープを見て、もし火星とキロンが重なっていたら(この確率は36人に1人)、
「ジム通いか、サプリメント飲みをしていませんか?」
と尋ねてみて下さい。
よく当たるので、“え、そんなことまで分かるんですか”といいスタートを切ることが、たぶんできるんじゃないかな。
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