狂おしい
今年はよく雪が降る。
先日はうちの周辺でも20cm積もった。電車などの交通機関もマヒするが、どうしようもない。ホームには冷たい風が吹きつける。でも、ダイヤが乱れて混雑した電車の中は蒸せる。窓が曇って、外の風景がぼんやりとしか見えない。
仕方ないと諦める。諦めた途端に、力が抜ける。流れに任せるしかない。
星占いをしていても、そんな感じの時もあるものだ。
相性診断については以前ブログで紹介したが、最近鑑定した中での“くされ縁”の事例を2つ紹介したい。
Aさんは、40代前半の男性で、彼は真面目な会社員で家庭も持っている。
2年ほど前、大阪で仕事の関係である女性と出会ってしまった。夜は水商売をしている女性だ。心惹かれ、頻繁に大阪のお店へ通うようになってしまった。親しくなると、彼女が山梨に遊びに行くから、宿を取って欲しいと頼まれた。湖の見えるホテルである。
彼女から誘ってきたのだ。
AさんはICというホロスコープ上のラインに海王星がある。その特徴は、繊細で、神経質で、臆病だ。IC海王星の特徴として、もう一つ占い好きになりやすいということもある。もしくは占いに依存するというか。
彼はあるベテランの女性占星術師に意見を聞く。
その女性占い師から“彼女から手を出してくるまで、こちらから手を出してはいけない”という助言を受けたそうだ。
Aさんは女性とその湖畔のホテルで会う。しかし、占い師の助言を信じるまま、ただ部屋でお話だけをした。
彼女は期待していたのだろう。で、そのことが原因で、彼女とは距離が開いていったという。彼女のお店に行っても、普通のお客として扱われるだけで、以前のような密接な関係になれない。
彼はホテルで男女の関係を結ばなかったことを悔やんだ。助言をした女性占い師を恨んだが、後の祭りだった。
彼は頻繁にお店に通った。そうした中で、彼女に“自分は離婚をしたから、一緒になりたい”と告げてしまった。
離婚したというのは嘘である。
そんなぬかるみにはまるような状態になって、しばらくしてからAさんは私のところへやってきた。
Aさんとその彼女との相性を診ると、7つの星でグランドクロス(十字架)と4つの星でTスクエアができていた。グランドクロスは7つの星とカウントしているが、ドラゴンヘッドやキロン(小惑星)まで合わせると、9つになる。これはかなり強烈な“くされ縁”である。私もこれまで多くの相性鑑定をしているが、これほどの凶角は初めてある。
ホロスコープで相性を診る場合、2重円を作り、内側に自分、外側に相手の人のチャートを入れる。吉角でも、凶角でも強いアスペクト(角度)ができればできるほど、“くされ縁”となる。ただ、凶角の場合は、幸せ感はほとんど無かったりする。まるで、冬の雨雪の中、小さな傘で身を寄せ合うような“ぬくもり”だ。傷をなめ合うような似たもの同士と例えても良いだろう。
くされ縁の場合、出会い方も一方がひどく酷い状況で、もう一方の人が後ろからそっと傘を差すような感じで現れたりしたりする。実際、Aさんの場合、相手の女性が前の男性と事件レベルのことで別れたばかりだったそうだ。
Aさんは、こんな関係は早く断ち切りたいと言う。でも、追い続けてしまう自分がいる。思わず、嘘までついてしまった。家庭を壊すかもしれないのに、なぜ続けてしまうのか。
“同じ匂い”がするからだそうだ。匂いというのは、人の持つ根っこの陰の部分や育ちのことであろう。
一緒にいても格別幸せ感など無く、離れていると、ただ気になって仕方ないのだそうだ。
前のような、仲の良い関係になれることを切望している。勝手だが、できれば自分の家庭はそのまま保っていたい。
思うに、このAさんはもう壊れている。
本人もそんなことは分かっている。
Aさんは、何度も私に2人は一緒に暮らしているのかと尋ねてくる。
強烈なくされ縁ではある。20代の独身同士ならば、おそらく同棲なり、何なり結ばれている可能性が高い。幸せ感は無いかもしれないが・・・。だが現実には、Aさんは家庭がある。今の奥さんと離婚なり、別居なりをしなければ、その女性と1つ屋根の下で暮らすことはないだろう。
つまり、Aさんがどんな選択と行動をするかで、未来は姿を変えていく。2人のここ数年先の運気を診ても、気持ちが盛り上がる時期が同じで・・・ここ数か月のその女性の攻め時を伝えた。数年後、一緒に暮らす可能性はあるが・・・Aさんはそんな選択を本当にするのだろうか。
> 苦しいですね、こんな縁、ばっさり切れて忘れられればいいのだけど。
> 関わらない方がもっと平常心でいられた。
> 良縁悪縁に関わらず、人生であとにもさきにもないくらい大きな出会いであったことは確かでしょうね。
もう一例は、Bさんからの相談だ。群馬県の40代の奥さんである。
ご主人さんは40代後半で、子供は3人いる。結婚して15年以上になる。星を診れば分かるのだが、この夫は生まれた時に太陽☉と土星♄とドラゴンヘッドが重なっていてかなり真面目な人である。生真面目、くそ真面目といったところだろう。しかし一方で、水星☿と金星♀が重なり、120度吉角位置に海王星、180度凶角位置に冥王星がある。実はおしゃれなど美意識や遊び心、恋心が豊かな人である。ロマンチストだ。しかし、真面目さがその遊び人に蓋をしてしまっているのだ。
そんな仕事一筋に生きてきたように見えた夫が、肺癌にかかっていることが診断された。
既にかなり進行していた。昨年秋に、余命はあと5ヶ月と診断されたそうだ。
で、夫はどうしたか。
家を飛び出し、別の女の元へ行ってしまった。
中学生時代の同級生だそうだ。数年前の同窓会で久しぶりに顔を合わせたそうだ。
で、夫とその不倫相手の女性の相性を診ると、この2人にもグランドクロス(十字架)があった。強い凶角によるくされ縁である。で、もう1つ、この2人には疎遠星でのTスクエアがあった。木星♃×海王星♆、もしくは木星♃×金星♀の凶角では、物理的、時間的に疎遠になりやすい。長距離恋愛だったり、生活時間が合わなかったり。だから私は“疎遠星”と呼んでいる。そのTスクエア(3つ以上の星で、180度凶角と90度凶角が同時にできている星並び)だから、どうしても引き裂かれるような、長距離になってしまったのだろう。
この夫は、余命があと数か月と知って・・・残りの時間をその女性と過ごしたいと思ったのだろう。真面目な面の下の、もう一つの顔がむくむくと出てきてしまった。
一番下の子はまだ3歳だそうだ。Bさんは、今後の家計のことを考え、パートで働き出した。
癌は末期の状態で、病院の医師も諦め、自宅で家族と最後の時間を過ごさせることを決めたようだ。でも、夫は家族より、不倫相手の家で過ごすことを選んでしまった。
真面目な方だけあって、夫は地元の消防団などで役員をやっているそうだ。このまま不倫相手の家で亡くなることになったら、・・・田舎の結びつきが残っていて、すぐに噂は広がることだろう。
> 怒りをぶつける先が無くて困っています。
> 不倫相手と話したときも、喧嘩したら夫が更に戻らなくなると考えて、
> 経緯だけ黙って聞いて、よろしく頼むと頭を下げました。
> なじって叩くくらいの妄想はずっとしてたのに、怒り時を逃してしまったようです。 (苦笑)
死ぬ時くらいは、大人として、後を汚さずにきれいに死にたいと思うのは、本当の死に私が面していないからであろうか。自分があと数か月の余命しかないと分かっていて、そんな不倫相手がいたのなら、そっちへ行ってしまうのか。今まで築いてきた信用とか、徳というものをすべて崩してしまうような行為にも見える。もうこの世のものは関係無いのかも。でも、残された家族に対しては、裏切りであろう。自分の葬式の後、家族が近所からどんな目で見られるか・・・そんなことも、本人は十分に分かっていることだろう。真面目な人だし。この夫にもいわゆる温かみのある幸せ感など無いのかもしれない。
人が死ぬ時のホロスコープは、案外、それほど悪い星並びで無かったりする。人生で最も悪い星並びということの方が珍しいだろう。ただ家族のホロスコープを診れば、良くも悪くもショッキングな影響を生活に受けるので、星回りに出ていたりする。以前、遺産相続の争いで悩んでいる方を鑑定した時、父親が亡くなった日は、残された家族4人全員に火星♂×土星♄の凶角(我慢星)ができていたことがあった。
Bさんや長男の星を診たのだが・・・夫は医者の診断より少し長生きするのではないかな。
Bさんの相談の1つは、夫が亡くなった後、自分は新しい男性を見つけられるかというものであった。Bさんは、エロ星(火星♂と金星♀)の凶角180度を持っている。実は結構な野獣さんである。実際、20代の頃は、いろいろ手を出し過ぎて、失敗し懲りているようなのだ。しかもBさんは、MC(ホロスコープ上の天頂)に金星♀がある。生まれた時に、天の真上に金星♀があったのだ。だから、再びスイッチが入れば、凄いと思う。ちょうどモテ期というか、男女の交流が増える金星♀と木星♃の合(0度吉角)も今年の秋にやってくる。風が吹くのだ。夫が亡くなった後、周囲がお見合いの世話などをしてくれるのだろうか。
開運とか、幸運というものを何とか手に入れようと願う。努力する。
でも、敢えて自分から、泥沼に入っていき、その沼が思ったより深く、ぼこぼこと溺れていくような人もいる。本人は沈んでいくのが分かっている。冷たいものに飲み込まれていく。光を失っていく。息が詰まっていく。
そういう人は、善意、誠意というものが助けようと手を差し伸べたとしても・・・もう受け取らないのだろう。