愛情星とエロ星の違い


今回は、相性鑑定における愛情星(金星と木星の吉角アスペクト)とエロ星(金星と火星のアスペクト)を解説します。主に男女間での恋愛関係での相性で使う星並びであります。
より実践的に理解してもらいので、2重円の相性鑑定(シナストリー)に絞り込んでお話します。

どちらもLOVE、愛に関わる星なのですが・・・求めるものが違うのですよ。

金星♀と木星♃の吉角アスペクトは、たいていの星占いの教本で一番の愛情に関わる星と説明されていたりします。私はこれを“愛情星”と呼んでいます。“家族星”とも言えるもので、家族的な温かみがあって、この相性の星が出来る相手とは出会ってすぐに意気投合し、仲良くなれたりします。まるで妹みたい、お兄さんみたいというような家族的な親しみを持つことが出来ます。

一方、金星♀と火星♂のアスペクトは、星のマークを見れば分かる通り、オスとメスの関係を表しています。平たく言えば、性欲ということであります。ですから、私はこのアスペクトを“エロ星”と呼んでいます。吉角(ソフトアスペクト)でも凶角(ハードアスペクト)でも、強さが違うだけで、互いに惹きつけ合う力が出てきやすいです。ソフトがいいか、ハードがいいかは、まぁ、好みの問題なのかもしれません。ハードの方が、引き付け力が高かったりします。このエロ星では、お互いに胸がきゅんとするとか、ドキドキするといった“ときめき”が起こったりします。

で、こうなると、愛情星とエロ星とどちらが、恋愛にとって大事ですかということになりますが・・・若い時期は、やはりときめきが大事なので、エロ星のある相性の方が分かりやすく恋に落ちています。愛情星の方は上にも書いたように、親しくはなれるけれど、兄さんと妹みたいといった具合に家族っぽくなってしまうので、10代、20代の人が期待するような胸キュンの恋愛というイメージではなかったりします。仲良くはなれるけれど、熱愛までは発展しないというか。

ただもう少し年齢が上がって、30代半ばになって、結婚を意識するようになると、ときめきは無いけれど、愛情星の関係を結婚相手に求めるような傾向が出てきます。
(まぁ、実際には他にもいろいろアスペクトができるので、それらも一緒に診なければなりませんが。財運とか、ケンカしやすいかどうかとか・・・。)

では、この愛情星とエロ星はどんな感じになるのか、実際に鑑定した最近の例をご紹介しましょう。

常連のお客さんから紹介された、アラフィフのEさんという女性から、離婚を考えているという相談を受けました。

このEさんは、神戸市にお住まい。今は友人が経営するカフェのお手伝いをしております。結婚して10年以上経っています。子供はいません。セックスレスの夫婦で・・・普通、セックスレスの夫婦と言いましても、昔はちゃんとそれなりにセックスをしていたというものがほとんどですが・・・Eさん夫婦は、まったくのセックスレスなのです。“ノーセックス”と呼ぶべきでしょうか。

2人の出会いは結婚から遡ることさらに6年・・・Eさんは夫の経営するカフェバーでスタッフとして働いていました。長く一緒にいることで、次第に心の距離は近づいて行ったのだそうです。夫は経営者としては能力が高いかもしれませんが、人格としては偏屈で・・・夫と付き合っていた頃も、周囲から“よくあんな人と付き合えるわね。あんな人と一緒に居られるのはEさんくらいよ。”と言われたりもしました。
いろいろな話を語り合う内に、気の合う部分が多く・・・なんとなく結婚に至ったそうです。

でも、男女の関係としては、ノーセックス。
結婚していても、ノーセックス? と皆さん、耳を疑うことでしょう。

Eさんは、肉体的な関係を夫に求めていっても、笑いながら、そんなことできないよ、みたいな感じで茶化されたり、もしくは、Eさんの身体に支障があるようなことを言って、まったく相手にしてもらえなかったのです。

逆に、Eさんは、本当は夫には身体に何らかの異常か病気があって、セックスのできない男性だから・・・それが言いづらくて、そのような態度を取っていたと思っていたのです。

収入は十分にあって、贅沢をさせてもらっていたので、夫には感謝をしていて、そちらの面のことは長い間、目を瞑っていたのです。本当は、友人家族のように、子供のいる暮らしというものにも憧れていたし・・・でも、そのことは口に出さないでおこうと、その気持ちに強く蓋をしてきました。

ですが・・。

“私との子供はいません。
結婚、病気でもない私を病気扱いにして、性行為は一切してもらえませんでした。
できない人なんだなと思っていたので。
信頼していたし今回の事は、とてもショックでした。”

Eさんの夫は、飲食関係の会社を経営していて、神戸と大阪を拠点にいつも忙しく駆け回っている人です。
今年の春、Eさんは大阪ではどんな生活ぶりなのかしらと、夫が借りているマンションを見に行ったのです。

部屋を入ると、おしっこの匂いが漂っていました。
すっと鼻を押さえて、部屋を見渡しました。
ごみ箱の中を覗くと、丸く折り込まれた紙おむつがいくつもあって・・・。
大きな画面のテレビの隣の棚に、愛人のSさんと赤ちゃんと夫の3人がお宮参りをしている写真が飾ってあった。

Eさんは何のことやら意味が分からず、目を疑いました。

“えっ、どういうこと???”

何気に愛人はいそうな気配は、直感的に少し感じていて、嫌な予感もあったので・・・それを確認したくて、大阪の部屋を覗いてみたというところもあります。
予感を越えた、悪い現実。

夫に問い詰めたところ、その赤ちゃんはSさんとの間に生まれた子供でした。

Sさんは、夫の会社の取引先の女性で、まだ30代前半。Eさんより、15歳くらい若い。
赤ちゃんは今年の初めに生まれたのだそうです。その赤ちゃんは、Sさんが実家で育てているという。

Eさんの内心を察するに、

“なんでぇ、子供がいるんだよ~~~!!
てめぇ~っ、他の女とはちゃんとやることやってるじゃねぇか~~~~!!!”

内臓と頭が噴火するくらいの満身創痍の激昂。
そして奈落の底が抜けて、何千メートルも暗闇を落ちていくような失望感。

そんなことがあってですね。
Eさんは離婚を考えていて、いつ離婚を進めて行ったらよいか、離婚後はどうなるのか、夫は慰謝料を払い続けてもらえるくらいの財運はあるのか、等々の鑑定依頼を受けたのであります。

ですが、このブログでは全部お話しすると長くなりますので、夫とEさん、夫とSさんとの相性の簡単なポイントを紹介していきましょう。
相性鑑定をする場合、2人のホロスコ―プを重ねていき、星の角度(アスペクト)を診ていきます。
まずは、夫とEさんです。内側が夫で、外側はEさんです。このブログでは個人が特定されないように、生年月日は公表しません。

【ここでホロスコープ初心者の方のためにアスペクト(角度)のことを簡単に伝えると、星同士の角度が0、60、120度の時は“吉角”と言って、良い働きをする角度。90、180度、つまり直角か、真裏に星が来ると、“凶角”と言って、強く出過ぎて、害になりやすい影響を与える角度。詳しくは私のサイトを見てね。】


黄色い丸で囲っておりますが、金星♀と木星♃が重なっております。しかも2つもあります。上にも書きましたが、これは“愛情星”と呼んでいる星並びです。すぐに親しくなれる相手であります。

夫はですね、太陽☉、火星♂、土星♄、海王星♆が90度凶角に並んでいて、なかなかのクセ者でありますよ(青いライン)。ここでは相性鑑定の焦点がぼやけてしまうので、詳しくは説明しません。ただEさんとは、愛情星が2つもできていますから、親しくなれるのです。家族になれるのです。

周囲の人間が“よくあんな人と付き合えるわね。あんな人と一緒に居られるのはEさんくらいよ。”と言うのもよく理解できるところであります。

さて一方、夫とSさんとの相性をご覧頂きましょう。内側が夫で、外側はSさんです。


夫の金星♀とSさんの太陽☉、火星♂、天王星♅でTスクエアができています。Tスクエアとは、180度凶角と90度凶角が組み合わさった強い凶角アスペクトであります。星の構成を見れば分かりますが、これは“エロ星”のTスクエアであります。
かなり強い凶角で、惹きつけ力もなかなか高いものでしょう。

そのTスクエアの構成要素、金星♀と天王星♅のアスペクトは“一目惚れ星”でもあり、凶角の場合は一目惚れし過ぎるので、“目移り”という意味でもあります。

以上、お分かりになりますでしょうか。

夫とEさんには、強い“愛情星”はあるけれど、“エロ星”は無い。
夫とSさんには、強い“エロ星”はあるけれど、“愛情星”は無い。

Sさんに子供ができて、夫とEさんは離婚の話を進めようとしているのです。ところが、夫の言い分は、Eさんによれば・・・。

それから、色々と話し合いをしてきましたが、私とは離婚したくなく、相手の女性には、何の気持ちも無く、子供を見ていきたい。
だから両方やっていきたいと、真剣に言っていて・・・月に2回は向こうに会いに行くと・・・。”

何とも、この夫は自分勝手な事を言っていて、どうにも許せないところでありますが、星を診る分には、これは夫の本音でもありそうですね。

愛情星は、家族星とも呼びますが、夫はEさんからそんな家族的な癒しを得ることが出来る。だけど、エロくはない。夫はSさんに性的な欲求を掻き立てられるけれど、家族的な癒しを得ることはできない。

もう一度、夫とSさんの相性の2重円ホロスコープをご覧頂きますと、


夫の月☽、木星♃に対し、Sさんの水星☿、木星♃、土星♄、海王星♆のグランドクロス(十字架)があります。グランドクロスは、180度凶角が2つ、90度凶角に交わった、Tスクエアよりさらに強い凶角アスペクトであります。6つの星でのグランドクロスですから、なかなか強いですね。

水星☿と木星♃の凶角はコミュニケーションミスを意味します。かなり強いコミュニケーションミスのグランドクロスとも言えます。言った言わないなどの話の噛み合わなさから、騙された感じも受けたりするので、私は“騙され星”とも呼んでいます。大事な情報に限って、伝わっていなかったりします。

夫とSさん、2人の間に“騙された感”が漂っているのかもしれませんね。
これは遊びのつもりだったのかもしれません。ただその結果に、双方、もしくはどちらかが騙された感を抱いているのかも。

夫とSさんは、性的な欲求部分では盛り上がりますが・・・それ以外は居心地が悪いかも。

そんなことも相性の星並びから読み取れるので、夫の発言が実に本当のことのようにも思えてくるのです。

吉角にしろ、凶角にしろ、強いアスペクトができると“腐れ縁”度が高くなります。夫とSさんはTスクエアにグランドクロスですからね。なかなかの腐れ縁ですよ。別れづらいことでしょう。子供もできていますしね。

だからと言って、夫の言うように“両方やっていきたい”というのも無理がある。

でも、後戻りすることも無理でしょう。

Eさんからすれば、本当に・・・“これまでの時間を返してくれよ”ですよね。

愛情星とエロ星のどちらもLOVEとして求めるものなのですが、それを別々の相手に求めてしまってはいけないのであります。

残念ながら、人間の業なのですわな。

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金星と火星のアスペクト
金星と木星のアスペクト


イラストは生成AIによるものです。