ひねくれて、母と娘
相性を鑑定しているとですね、友人やカップルというのは、まぁ、相手を選んでいるので、何かしら良い星並びがあったりします
けれども、親子とか、兄弟とか、姉妹とかは選ぶことができないので、必ずしも一緒に居やすい相性とは限らなかったりするのですよ。
人には他人に害になりやすいところがあったりしますが、でも、その害というか、きつい部分が必ずしも相手に悪い影響を与えるとも限らない。
ただね、運が悪いといいと言いますが、ちょうど、そのきつい部分が相手に当たってしまっている場合もありまして・・・それが親子ですと、なかなか・・・今回はそんな母と娘のお話であります。
先日、鑑定をさせて頂きましたSさん(40代・広島県在住)。Sさんが十数年前に結婚してからは、別居していますが、お母さんとは悩ましい関係なのだそうで。
【ここでホロスコープ初心者の方のためにアスペクト(角度)のことを簡単に伝えると、星同士の角度が0、60、120度の時は“吉角”と言って、良い働きをする角度。90、180度、つまり直角か、真裏に星が来ると、“凶角”と言って、強く出過ぎて、害になりやすい影響を与えやすい角度。詳しくは私のサイトを見てね。】
まずはSさんのホロスコープを見てみますと、
太陽☉、土星♄、冥王星♇がTスクエアを形成しています。Tスクエアとは、180度凶角と90度凶角が組み合わさった強い凶角です。土星♄と冥王星♇の凶角を“ヘロヘロ星”と呼んでいて、かなりのハードワーカーでしょう。
実際、Sさんは、以前はIT系の会社の勤めていて、父母の入退院、お見舞いの世話もしながら、毎月100時間の残業は当たり前という環境で仕事をし続けていたそうです。この星並びなら、おそらく子供時代から、ずっと頑張り屋さんだったことでしょうね。
他にも、火星♂と海王星♆が180度凶角になっています。私は“イライラ星”と呼んでいますが、普段は大人しくしていても、瞬間湯沸かし器のところがありそうですね。怒らすと、怖いタイプということですよ。
まぁ、他にも多くのアスペクトがありますが、ここでは省かせてもらいます。
火星♂、土星♄、海王星♆、冥王星♇の4つの星を凶星といい、これが凶角を作っていると、まぁ、どちらかというと害になりやすいです。その人の短所となりやすい。で、Sさんの場合は、凶星の凶角が2つあるということであります。
一方、お母さんのホロスコープを見てみますと、かなり偏っていますね。
その中で注目したいのが太陽☉、金星♀、土星♄、海王星♆が90度凶角を形成している点ですね。
土星♄と海王星♆の凶角をネイタルチャート(生まれた時の星並び)で持っている人の性格は、ちょっと表現が難しいのですよ。土星♄が“抑える、控えめ”という意味があり、海王星♆は“感情”なので、直訳すると“感情を抑え過ぎる”となるのですが、じゃ、控えめな性格かといいますと、そうでもない。“強く素直でない”という方が的を得ていることでしょう。何を考えているのか分かりにくかったりします。まぁ、誤解を招くかもしれませんが、平たく言えば、“ひねくれている”ということでしょうな。
その土星♄、海王星♆のひねくれ凶角を、太陽☉と金星♀が増強しているということであります。ちなみに金星♀と土星♄は“癒しキャラ”になります。また金星♀と海王星♆は“色気のある人”となります。
まぁ、お母さんを紹介するなら“癒しキャラ系の魅力ある人だけど、ひねくれている”ということになりますね。
お母さんの場合は、凶星(土星♄、海王星♆)の凶角は、この4つの星の90度凶角ということであります。
で、相性を診る時は、2人のホロスコープを重ねるのですが・・・
まず注目したいのが、SさんのハードワーカーTスクエアが、お母さんのひねくれもの90度凶角にがっつり重なっているということであります。
こうがっつり絡んでくると、まぁ、お互い凶星が影響し合って、ハードワークがひねくれにぶつかってしまうわけであります。
しかも、土星♄と海王星♆の凶角が“ひねくれ”とするならば、お母さんの土星♄と海王星♆に、さらにSさんの土星♄まで加わって土星♄×海王星♆×土星♄、ひねくれの度合いが1ランクアップしているのです。
2重円で診るアスペクトは化学反応を引き起こすようなものとお考えください。酸性の洗剤とアルカリ性の漂白剤を混ぜると、危険なガスがぶわぁーって出てくるみたいな。
もともとSさんは頑張り屋さんだったので、子供の頃から学業の面でも誰にも負けまいと、人一倍勉強を熱心にこなす子だったそうです。中学生の頃には、学校の試験で晴れて、学年一位を取ったことがあるという。お母さんは喜んでくれるだろうと、ルンルン気分で早歩きで家に帰っていき、結果が書かれた紙を渡すと・・・「ますます可愛げが無くなったわね。」と言われたという。
こんなんですから、ぶつかることが起こりやすいのですが・・・。
Sさんの結婚も大変だったそうで。どうにも母親には結婚相手が気に入らないようで、ひどく喧嘩したようです。ちゃんとした仕事に就いていて、穏やかな人なんですが、お母さんにはつまらない人間だったようで。喧嘩の仲直りにと、新婚旅行の欧州土産にお皿を持って行くと、「お皿なんてもらって喜ぶ人はいないわよ!」と目の前で地面に叩きつけられて、粉々になったそうです。
なんだか、ひねくれているというか、気性の激しいお母さんだなぁと思われてくるわけですが、じゃ、Sさんがやられっぱなしかというと、そうでもないのですよ。
次に注目したいのは、Sさんの火星♂、海王星♆の凶角“イライラ星”。瞬間湯沸かし器に時々なってしまうと上で書きましたが・・・
そこにお母さんの天王星♅が乗ってしまっている。火星♂のある方が攻撃するので、Sさんの方がやってしまうのですね。
まぁ、ひねくれているからお母さんは口が悪い。Sさんが言うには、
「母は人格を攻撃するような、侮蔑的で人に罪悪感をもたせようとする言葉をよく口にするのですが、聴いていないふりをすると、どんどんエスカレートしてきます。しばらくは聞き流しますが、沸点を超えた瞬間にわたしの人格が豹変して口撃するパターンです。」
お母さんは、Sさんが思い通りにならない時や、電話で話している時に気に入らないことがあると会話の途中でも電話を切りそうになるという。そうなると、Sさんが臨界点を越えて爆発。「あんた、人間として最低だよ!」と母以上の口撃が始まるのだそうです。
Sさんの木星♃とお母さんの土星♄が120度吉角を形成しています。
木星♃と土星♄の吉角は財運の堅実さを意味していますが、土星♄のある方がお金の使い方を注意して、堅実にしていきます。この場合、お母さんがSさんにお金のことを細々いろいろ言いうことを表しているようですが・・・
今でも、「あなたの七五三には○○万円使ったのよ」とか、「大学受験には○○万円かかって、入学には○○万円払ったわよ」とか、さらに付け加えて「あなたは本当に金食い虫ね」と事あるごとに言うのだそうです。
喧嘩すると、母親は「あんたに使った金、全部返せ!」が決めセリフなのだそうです。
お母さんは嫌われて当然のように思われるかもしれませんが、それはあくまでSさんとの相性の問題であってですね。こんな星もあるのです。
お母さんの金星♀とSさんの天王星♅が120度吉角を形成しています。これは“一目惚れ星”と言って、金星♀のある方を好きになります。本来なら、Sさんがお母さんのことを一目惚れするところですが、まぁ、上に書いたようにいろいろいざこざがあるのでそんな感情にはならないのでしょう。
ただここで考えてもらいたいのは、天王星♅はゆっくりな星なので、同級生はほぼ同じ位置にあります。つまり、こうした親子の場合、同級生から母親は一目惚れされる、母親は子の同級生からモテるということになります。
最初にお母さんのシングルチャートでも解説しましたが、そもそもSさんのお母さんは色気があって、癒しキャラなのですね。周囲から、若々しく“肉感的”で色っぽいとよく言われたのだそうです。“肉感的”とは、肉体が豊満で、性欲をそそる魅力があるという意味です。
クラスの友達は「Sさんの家に行くと、おやつをたくさん出してくれる」という評判が立って、みんなが家に来たがったそうです。小学校の時は、Sさんはいじめられた経験もあるのですが、そのいじめっ子すら、家におやつをもらいに来たそうです。若くて美人なお母さんと羨ましがられたそうで。お母さんからすれば、“おっほっほっ”ですな。
このお母さんは、Sさんには娘には細かい事を言うけれど、他の子にはそうでもなかったようで・・・人気があったみたいですね。
こんな親子の関係ですと疲れてしまいますわね。
大人になったら、さっさと家を出て、口をきかないというのが普通なのでしょうが・・・
でも、そうでもなく・・・星☿と金星♀の吉角を“おしゃべり星”と呼んでいて、話が賑やかに盛り上がる星並びなのですが、Sさんとお母さんの相性には120度吉角が2つもあるのですよ。
で、実際、今でも毎日電話で話しているそうです。お母さんはいろいろ話したがり、お金に絡むこと、自分がいかに大変だったかの被害者エピソード、自分がいかに人に良くしてあげているかのエピソードがほとんどで、一方的に聞かされ、Sさんの話を聞くことはないそうで。それでもたまに愚痴っぽいことを言うと喜んで食いついてくるそうです。
Sさんがなにかに失敗したり、傷ついたり、苦しんでいると、お母さんはなんだか嬉しそうというか、喜んでいるというか、ここぞとばかりに励ましてくる。
お母さん、「何かあれば、もどってきてここ(実家)に暮らせばいいのよ」というのが口癖だそうで。
「母は母なりに、わたしのことを喜ばせようとしてくれます。そのやり方は、“相手のことを理解する” “寄り添う” “尊重する” “話を聞く” ”優しい言葉をかける”という目に見えないやり方よりも、“お金をあげる” “好きな料理を創る” “食べ物を送る” “ものをあげる”といった、目に見える物質的な表現が多いです。その量や内容やタイミングがわたしと母の場合は微妙にずれていて、お互いに『こんなはずじゃないのに』が起きていることも多いです。」
Sさんは、このホロスコープ鑑定を聞いている間、神妙な面持ちだったかというと、そうではなかったのですよ。Sさんはずっと笑いっぱなしだったそうです。
親子の場合、相手を選べないですからね。相性が心地良いものとは限らないです。
親子の相性は、本当は“良い”とか“悪い”といった言葉で表現できるものではなく・・・世界中には星の数ほど、それぞれの親子のスタイルがあるわけで・・・これもまた“ある1つの家族の風景”としてあるような気がするのですよね。