星占いは科学的か?
「占星術の成立条件と本質を検討するとき、占星術が他のあらゆる占ト術と違った特殊な性格を有することを発見する。それは占星術が完全に自然科学的な一面と、完全に原始宗教的な一面をもつことである。」
これは故 荒木俊馬 著「西洋占星術」の中の言葉である。荒木俊馬氏とは、有名な天文学者にして、京都産業大学の総長をされていた方である。ここで私が細かく説明するより、検索してもらった方が速いでしょうけどね。50年以上昔に書かれたこの本は、星占い師以外の人が、西洋占星術の成り立ち、構成、占い方などを解説した本として知られている。西洋占星術に自然科学的な一面があると書いているのであるが・・・。
でも、私が都合の良い部分だけを引用しているように思われたくないので、この文章の前にどんな一文が書かれていたかというと、「自然科学の立場から観れば、占星術は明らかに迷信である。このことに異論をさしばさむ余地は微塵もないのである。しかしながら・・・」である。つまり基本的には、占星術は迷信という立場なんだよね。
星占いが“科学的”かどうか、科学的な一面を持つかどうかという視点は、なんだか、科学の方が “上から目線” で西洋占星術を見ている様であまり好きではないんですけどね。
そもそも2500年以上の歴史がある西洋占星術が、ここ数百年、主流となった科学という思想に、“お前らは仲間か”とか“使えるのか”と問われているようで、どうにも違和感がある。合格か、不合格かと言われるような感じだ。だって、科学が世の中の主流なモノの見方になる前は、キリスト教という宗教が力を持っていたわけで、その時にも、星占いは迷信扱いされてきた歴史があるわけですから。呪術的な要素が増えたからとも言われているけど、皆に信じてもらえない間に衰退していったと。その後、ルネッサンスとともにアラビアから逆輸入して復活したのが、今の西洋占星術の経緯なんですよ。だから、いちいち時の権力者というか、思想に媚びる必要なんかないわよ、と言いたい。歴史的に、ずっと迷信扱いされてきたわけですからね。科学という思想だって、何百年後には、主役の場から落ちているかもしれないし。
では、科学的とはどんなものかというと、人間の力をはるかに越えたパワーとスピードを持っていて、華々しく、神々しいもののように思えるけど、実はかなり保守的で、堅実なものなんですよ。その石橋を叩いて渡るような、気の長い地道さの積み重ねの上に現代の科学文明があると。
科学的というのは、ある自然現象が、ある法則によって、必ず起こるということ。数式なんかがあれば、かなり科学者の方々が納得してくれる。言い換えれば、ある環境、条件を揃えれば、必ずある自然現象が起こるというもの。それが証明されたものが、“科学的”なんですよ。
いわゆる“再現性”というものなのよ。誰でも、同じ条件を揃えれば、その現象を “再現” できるということ。小保方さんのSTAP細胞の騒動で、この“再現性”という言葉が多用されたのだけれどね。あの事件は言ってみれば、小保方さんの論文通りに、世界中の学者たちが条件を揃えても、一向にSTAP細胞ができない。それで、一斉に「あれ、ウソやろ!」という声が上がったわけですよ。まぁ、他にもデータや写真のねつ造もありましたけど。
もしかしたら、小保方さんは、本当にSTAP細胞を作ったかもしれない。しかし、STAP細胞を再び100%作成できる、引き起こさせる条件を提示することができなかったことでも、これは“科学的ではない”となるわけですよ。STAP細胞については、最初からウソだったというのが、現在のおおかたの見方ですが、もしかしたら、偶然、できていたことも有りうるわけですね。ただ再現させる条件、方法が見つけられないと、その発見はただの “まぐれ” “偶然” な現象ということになるわけですよ。
一方、野球のカーブの論争というものが大昔ありました。大昔と言っても戦前の話であります。科学者たちの間では、人間が曲がる球を投げられるはずがないと論争になっていたわけです。空気との摩擦、流れでコースを変えられるほどの回転を、人間の手で加えられるはずがなく、カーブというのは目の錯覚だという意見があったのです。この論争はしばらく決着が付かなかったのですが、戦後になって、高速度カメラが開発され、カーブが撮影された。その球の軌跡を写真で見て、「おおっ!」とそこで皆が納得したわけですね。まぁ、実際にカーブという現象をカメラの前で何度も起こしているんだから、納得せざるをえなかったと。
同様なことが、かのアインシュタイン博士にも言えるわけで、20世紀の物理学会の最大の発見の1つ「相対性理論」は、1905年の発表当時はまるで相手にされなかった。ところが、10年経って、アメリカの天文学者が、光が重力で曲がっているのを発見したのですよ。そこで “当たってるじゃん” となったわけです。
科学とは実に保守的で、常に疑い深くて、提案すると常にケチをつけてくる部長がいる会議のようなものなのです。
カーブにしろ、相対性理論にしろ、とりあえず実際に起こった現象を目で確認して、“科学的” となったわけですね。数式や理論よりもやはり実際に再現して、その現象が起こるのかどうかということが大切なのです。当たり前の話ですが。
今、普通に使われるようになったLEDだって、なぜ光るのか、きちんと納得するように説明できる人って、どのくらいいるのかしら?
LEDという半導体なんだけど、早い話、ただの石でしょ。偶然、電圧を加えたら、光る石があったので・・・結局、いろんな石を手当たり次第、電圧を加えて試していって、光る石を探していったと。そんな地味な作業の方が、裏付けをする理論よりも、現在のLEDの文明、技術を実際に作り上げていったわけでありますよ。
でもこちらとしては、スイッチを付ければ、100%光ってくれるので、どんな石がどんな理論で成り立っていようと、私たちの生活には支障が無いのであります。
で、西洋占星術が“科学的”になり得るかというと、・・・かなり難しいのですね。LED電灯のように、スイッチをポンと押したら、必ず光るというわけではないのであります。
ある条件で、ある現象が必ず起こると証明しなければならない。上に書いた、“再現性”というものでありますが、まぁ、星占いもそれなりに現象を当てることはできますよ。でもね、電気のスイッチのようにはいかないのでありますよ。
この星並びの人は、必ず、こういう性格であるというのは・・・100%は無理でしょう。
さらにもう一つ、その現象というのも、性格という人間の内面という測定しにくいものや、財運、仕事運、恋愛運といった、本当にそうなっているのかどうか厳密に確認のしようのないものばかりなのだから。仕事運とか恋愛運とかになってくると、本人の自覚というものがデータを左右してくるわけですしね。主観的、感覚的な現象ばかりということであります。主観というのは、人によって見え方、感じ方が違ってくるので、まったく科学的なデータにはそぐわないものなのですよ。
例えるならば、60階建てのビルの中でのエレベーターを想像してもらいたい。
1階でエレベーターに入って、35階のボタンを押す。そうすると、ちゃんと必ず35階へ連れて行ってくれるのが、科学というものです。科学の成せる力でありますよ。
でもね、星占いの場合は、35階のボタンを押しても、32階へ行ったり、40階へ行ったりする。ずいぶんとアバウトなわけです。当たっているような、当たっていないような・・・。きちんと“再現”されていない。科学の生活に慣れた私たちにとっては、これは当てにならないものなのです。
そもそも西洋占星術には多くの技法が入り込み過ぎて、ほとんど当たらないものもある。いいかげんな技法を使っていると、35階のボタンを押しても、下手をすれば、地下2階に行ったりする。こんなことなら、使わなければ良かったとなることもあるのですよ。
もしくはこんな例えですかね。
あるデパートで、「友達にプレゼントをしたいのだが・・・」とエレベーターに言ったら、スポーツ用品売り場の階に連れて行かれるような・・・まぁ、間違ってはいないかな、と。
どのみち、科学の法則というレベルから見ると、とても合格点には達しないのです。
でも、神様と比べるとどうでしょうね。
“いい男と巡り合えますように” と神社にお願いした場合、100%その現象が起こるっていうわけではないですわな。皆さん、経験済みでしょう。西洋占星術より再現性が低いような気がしますが・・・。
つまり宗教がメインだった中世以前は、おなじ迷信扱いでも、再現性とは別の理由で迷信扱いされていたのでしょうね。
でも、科学が進んで、新幹線やモバイルなど、江戸時代の人が見たら、おったまげるような神的なことが普通にできるようになっている時代ですからね。星占いにも100%の再現性というのが、当たり前に期待されるようになっているのかもしれない。スイッチを押したら、ポンと正解が出るような・・・。
それほど、“科学的” な便利さが当たり前になっているということですわな。
そんな予測の実用性に応えようとする人たちの中には、科学ではないけれど、都合良く“統計学”という言葉を用いる人たちもいる。
再現性が多少低くても、使えるくらいに当たるならば、使おうよという考え方ですね。
エレベーターで、35階のボタンを押して、たとえ35階ぴったしに連れて行ってくれなくても、32階や38階へまで連れ行ってくれれば、1階から階段で登るよりマシだから“使える”と判断する。もしくは多くは35階に連れて行ってくれるが、時々、3階だったり、55階だったりする。それでも、多くの場合ちゃんと連れて行ってくれるから、“使える”と判断するようなものだ。
これは “的中率” と言ってもいいかもしれない。
西洋占星術の中には、2500年間の間にいろんな技法が入ってしまっている。相性鑑定をするにも、シナストリー、コンポジット、ハーモニック、リリス、サビアン・・・などなど。おそらく多くの星占い師が実感していることだろうけど、それぞれの鑑定法によって、的中率が違うのですよ。
ところが、星占いの本には残念ながら的中率は書かれていない。
ある技法による財運の的中率は60%とか、人の死についての的中率は5%とか、そんなことが書かれていたら、どれほど使いやすいことか。
でも、著者たちはこれを書きたがらないのである。黙って100%のフリをする。そもそも、上にも書いたけれど、当たっているかどうかというデータが主観的、感覚的なものなので、数値化が難しい。
だから、初めて西洋占星術入門の本を読む人は、どれもが100%の的中率と思い込んでしまう。
西洋占星術を学ぼうとする方は、実際に試してみて、どの程度の的中率か、感覚的に捉えておくと良いだろう。そこでその技法がどの程度使えるかを判断していく。正直、私の考えでは、“実用”としては使えないばかりの方が多く書かれているような気がする。それが、同じレベルで“これは当たりますよ!”という顔をしているから、厄介なのだ。
例えば、“アセンダントが獅子座の人は、鼻が大きい”とか。
私もアセンダントは獅子座だが、鼻が大きいのかどうか、どう判断したら良いものか。そんなに立派かな?
西洋占星術は古代ローマ人たちも使っていた。我々、顔が平たい族の日本人は、同じ “鼻が大きい” でも・・・ね。
この説の的中率は何%だろうか。
一方、ハウス有りのホロスコープチャートを作った時に、MCに木星がある人は、仕事運、財運が良いというのは、これは結構当たっている。少なくとも、仕事、お金に困っているような人に有ったことがない。
あと、MCに天王星がある人は、転職や引っ越しが多いというのもかなりの確率で当たってしまうのだ。
以下の説はどうだろう。
物事を始めるなら、新月から満月にかけての日程が良い。でないと、破綻する。何故なら、エネルギーが膨らんでいく方向だからというのだが、・・・そんなこと言ったら、一ヶ月の半分は否定されてしまってしまう。逆の満月から新月の間に設立された会社、お店でも繁盛しているところはたくさんあるでしょう。
この説を迷信とするのには、十分なほどに世界中に反対の事例があるような気がするのだが。
的中率はそれでも50%かな。そりゃ、半分だからね。
こういうものもある。
アセンダントのかに座の人は、ガンで亡くなりやすい。
その理由は、かに座=CANCER(がんという意味もある英単語)だから。
この英単語に関しては、ネットで検索すれば、すぐに分かることですが、その症状が蟹の脚の伸ばした状況に似ているので、語源のギリシャ語が同じだったということですね。まぁ、見れば“肌が蟹みたいになる”に病気と。
ここまでくると、迷信どころか、語呂合わせ、もしくはダジャレでしょう。
でも、この的中率はおよそ30%と高い。
なぜなら、日本人の死因の1位はガンで、およそ30%だからですから。アセンダントがかに座でなくても、およそ30%の人ががんで亡くなる。
これらの説、技法が同じ一冊の本の中に書かれていたら、読む人は全てが同じ的中率のような気がするわな。
上の荒木俊馬 博士は、こんなことも書いている。
「西洋占星術が中国や日本の占筮易断・陰陽五行・九星判断・四柱推命などと著しく性格を異にするのは、占星術の半分が精密自然科学としての古典天文学の知識を基礎とし、その知識なしには運命判断を実施することができない点にある。」
古典天文学とはどのようなもののことを言っているのか分からないが、ホロスコープチャートと呼ばれる西洋占星術の表には、現代では各惑星のかなり正確な運行の計算が用いられている。それらの中にはNASAのデータが使われているものもある。最近のホロスコープチャートには、冥王星どころか、1977年に発見されたキロン(カイロンとも言う)という小惑星まで入っていたりする。
西洋占星術には自然科学(天文学)のデータを材料に、“占い” をするという特徴がある。
そんなホロスコープチャートを見せられれば、誰だって、多少は “科学的” なもののように思えるわな。
いかに科学的な精密データを積み上げていったところで、最後の詰めの、財運、恋愛運につなげる鑑定部分が上に書いたようなアバウトなものでは、いくら時代が進もうと、“科学的” にはなれないのですよ。
一方で西洋占星術は、科学技術の恩恵をかなり受けている。
私が中学生の頃は、ホロスコープチャートをパソコンではなく、占星術の巻末に書かれている星の運行表を基に計算して作っていたのです。10個の星の位置を出していけば、それだけで結構な時間を費やしてしまっていたのですよ。プラシーダハウスという、緯度経度によって、ハウスを割り出してホロスコープチャートを作るなんてとても計算が複雑で、正しくできたかどうかも自信が無かったものですよ。
1980年後半になるとパソコンがある程度普及して、街の西洋占星術の占い師たちは、他の東洋の占い師と違い、当時の大きなパソコンを使って鑑定していてね。まだ文字が緑色の画面の時代だった。デパートなどの占いコーナーでも、大きな“箱”があるから、一見して、西洋占星術の人だと分かったものだったんですよ。
そして今はネットで簡単にホロスコープチャートが、誰でも簡単に作れるようになったと。私が星占いを教えていても、ホロスコープチャートはいくつも作っているが、逆行のしくみを理解していない人もいる。本当に星が、逆方向に動くと思っている人もいる。
でも、それでいいということですよ。
要はホロスコープチャートさえ手に入れば、鑑定ができるのであるから、ホロスコープチャートを作るという知識も技術ももう要らなくなったのであります。電卓がある時代に、そろばんを習得する必要がほとんど無くなったのと同じでね。
500年以上昔の中世においては、このホロスコープチャートを作れる人は、まさに当時の天文学者と同じくらいの知識と技量を持っていたことだろう。そもそも当時はどうやって惑星の運行表を手に入れたのだろうか。それだけでも大変だ。ケプラーの法則が発見される前はどうやって、惑星の位置をつかんだのだろう。(ちなみにケプラーの法則を使いこなすには、微分積分の計算が必要となる。)
となると、毎晩、目視で惑星の位置を確認していた? 眠れないじゃん。
荒木博士の言うように、精密自然科学のデータを材料にして占いをするというのは、実はかなり労力が他の占いよりかかっていたということだ。
中世の世において、同じ恋愛運でも、水晶占いや手相、50本の竹ひごを混ぜて引き出す易者の方がどれほど簡単に、早く鑑定結果を出せたことか。想像してみよう。いろんな占いが集まっている占いイベント。西洋占星術の占い師たちは、次から次へとこなすタロットカードの占い師の客の回転の早さにがく然とし、きっと西洋占星術を選んだことを後悔していたことだろう。
それがやっと21世紀になって、ネット、アプリのおかげでタロットカード並みの手軽さとスピードで鑑定できるようになった。
でも、逆に言えば、中世の天文学者並みの知識と技量は省略され、要らなくなった。
私が子供の頃までは、西洋占星術の星占い師になるためにはそれなりの計算能力と粘り強さが必要だったが、その部分が要らなくなったと。
ホロスコープチャートが作れなければ、星占い師になれなかったということを考えれば、ハードルがぐっと低くなったというわけでなのです。
そうなると、星占い師に求められる技量は何かというと、それ以外の部分にぐっと比重が高まったというわけ。
星を読むセンスだったり、お客さんに分かりやすく伝える能力だったり、カウンセリング能力だったり。
ホロスコープチャートが簡単に作れるようになったことで、より多くの複雑な技法が簡単にできるようになった。かと言って、それらの技法を駆使できることを自慢しても、そもそもそれで的中率が高まったわけでない。
中には複雑な計算が多い技法ほど、精度が高いという、“科学っぽい” ものの考え方をする占い師もいるが、実は的中率とは 全く 比例していない。
さらに、中にはいろんな技法によるホロスコープチャートの鑑定書を全て渡して、“この方法で診ると、結果は○○で、この方法で診ると、結果は△△で、さらにこの方法で診ると、結果は●●なんですが。” と、いろんな鑑定結果を提示する星占い師もいる。
科学の発達のおかげで、セレス、ジュノー、パレス、ベスタなどの小惑星は発見され、その正確な位置がホロスコープチャート上に表記されているが、実は使い方、つまり、それらの意味がまだよく分かっていない。定説がない。科学の発見の方が、占いの解釈より発達のスピードが早いということですよ。星占いの方が追いつけていない。
いわゆる “情報の氾濫” というやつですよ。
星占い師の方が上手く整理できていないと、鑑定を聞くお客さんは頭の中がパンクするわけですよ。科学の発達のおかげで、多くの内容が得られるようになった分、整理することも含め、“伝える能力”が重要になってきているというわけですな。
いかに西洋占星術で得られる情報を、分かりやすく整理して伝えていくか。
一般の人たちに西洋占星術の効力を活かしてもらいたいと簡略化されたものに、太陽星座占いというものがあります。太陽がどの星座にあったかということだけで、全ての人を12星座のどれかに当てはめ、運気をみるというもの。言ってみれば、私たちが一番最初に出会う “星占い” であります。
これはホロスコープチャートのうち、ハウスも無く、太陽の位置する星座を見るというやり方なんですね。
20世紀の初頭に、印刷メディアの発達により女性誌の販売が順調に伸びてきた頃、より売り上げを伸ばすために採用された技法ですよ。まさに星の数ほどのパターンがあるホロスコープチャートを、たった12通りにしてしまうことができる。これなら、雑誌に載せられる。本来の西洋占星術に比べれば、的中率はぐっと落ちましたけどね。
で、星占い師たちは、これらの方法と出版社からのギャラによって、対面鑑定以外の収入を得る方法を作り上げたのですよ。
だが、これは紙媒体の時代の話である。20世紀の初頭に、大量に印刷して、大量に売りさばくというビジネスが、印刷技術や物流などの発達によって成立するようになったということ。そこに星占いが乗っかったと。2500年以上の西洋占星術の歴史全体から見れば、まだ最近のことですよ。言ってみれば、“流行” のようなものです。
でも、21世紀になって、IT技術の進歩のおかげで、別に太陽12星座占いでなくても、いろんな方法が出来るようになっている。
何が言いたいかというと、ホロスコープチャートの自動作成の次は、鑑定の自動鑑定を目指していくということですよ。その方向性を“科学的”ではない西洋占星術から掘り出していくかという問題ですな。
でも、せっかくなら、より使えるものであって欲しい。
上では、“的中率”と書きましたが、占う対象が主観的、感覚的なものであるから、ここからは“当たっている感” という言い方にしていきましょうか。
で、私は最近自分のサイトにMC、ASC、ICに惑星が乗っている場合(アスペクト0度、合)の表を作成しました。
なぜかというと、このMC、ASC、ICに惑星が乗っている場合は、かなり“当たっている感”が大きく出てくるからであります。
ただし生まれた時間が分かっていないと作成できません。いつものMy Astro Chart で作成してみましょうか。
http://www.m-ac.com/pages/setting_j.php
ハウスの欄を「プラシーダハウス」にしてみて下さい。
MC、ASC、ICと惑星の表は私の本サイトにも載せてあります。
http://homepage3.nifty.com/tsubobo/index.html
星占いのそれぞれの技法によって、“当たっている感”がずいぶんと違っているが、このMC、ASC、ICはかなり“当たっている感”があると思う。これもあくまで私の主観、鑑定を実際にやっていての感じる範囲でありますがね。
もし、自分を含め、お子さんなんかの生まれた時間が分かっている場合は、試してみるといいでしょう。ただし、必ずしもMC、ASC、ICに惑星が乗っているとは限りません。誤差はプラスマイナス5〜10度と考えて下さい。
次に私が、“当たっている感” が強いと思うのは、惑星同士のアスペクトでしょうね。これはもうすでに私の本サイトに載せているものであります。
これは実際に試してもらって、実感してもらっていることでしょう。ただしアスペクトでも強く現象として出るものと、潜んでしまうものがありますね。ここにも順番を付ける必要があるでしょう。
その次がハウスかな。
その次が星座かな。
こうして、“当たっている感”を強いものの順に並べていく。ここが主観的、感覚的なのは仕方ない。所詮、星占いは最後の財運、恋愛運などの結果、現象が、主観的なものなのだから。
このような順番を作っていけば、星占いの“当たっている感”の精度を、より簡単に、より高めることができる。
今でも、生年月日と生まれた時間を入れるだけで、性格や適職を鑑定するソフトやネット上のサイトがあると思うのだが、太陽星座か、ハウスと星座、惑星の組み合わせぐらいでできているのではないかな。
ITの技術は進歩しているので、いつかはすべての技法を混ぜ込み、“当たっている感”の強いもの、現象と出やすいものの順に文章を組み立てるソフトが作られることだろう。
しかし今の技術ではまだ日本語の文章の作成すらままならないのだから、そこまではできない。
かと言って、ずっと、紙媒体の20世紀と同じ太陽12星座占いに頼るというのも、どうかと思いますけどね。
でも今ある技術で、できる範囲内で西洋占星術を活かすことを考えることは可能ですよ。西洋占星術の“当たっている感”の強いものの順に並べていけばいいのです。逆に処理するデータを減らすため、“当たっている感” “的中率”が低いものは排除していく。技術力がアップしたら、“当たっている感”の高いものの順に、次々技法を加えていく。
これも西洋占星術の簡略化の1つの方法ということですね。
今はまだソフトやアプリくらいでは、人の進路にアドバイスをするような高度な鑑定はできない。
簡単なレベルで“当たっている感”を出していくのが精一杯だろう。
たとえば、ネット上のロールプレイングゲームで、生年月日とできれば生まれた時間を入れることで、その人は “戦い好き” とか “ロマンチスト” “勘がいい” “スタミナ抜群” “慎重派” “自己中心的”などの性格を出したり、“ここ1年はスランプ”とか、“3年前くらいに精神的ダメージがあって、現在も心傷中?” “来週、体力パワーアップ” “半年後は絶好調” 程度の運気を表示していくことぐらいはできるようになるのでしょうね。
生年月日だけで、性格、運気に関して情報を与えれれば、一緒にネット上でプレーするメンバーに人間臭いストーリー性が出てくることでしょ。
まだ西洋占星術を科学技術の上に乗っけられるのは、そのくらいでしょう。つまりは、ゲームの“おまけ”程度ならできるかな。
もしくは、街コンなんかでは、初対面でも盛り上がる相手をアスペクト式の相性鑑定(シナストリー)で、参加者全員の組み合わせパターンから割り出すことは可能ではないかな。これも参加者、男10人×女10人だったら、組み合わせパターンは100通りだから、とても手作業では鑑定していられない。ソフトやアプリでの自動化が欲しいわな。参考程度に使うならいいかな。
西洋占星術はおそらく永遠に“科学的”にはならない。その前に科学の方が廃れるかもしれない。
そもそも当たることより“癒される”ことや、“自分の星座が朝、テレビでラッキーランク1位だとそれだけで一日気分がいいので・・・”なんてことさえしてくれれば良いと思っている人もいるだろう。でもやっぱり、人はできることならば、未来が知りたいですよ。
それでも、今は情報処理技術の発達のおかげで、より西洋占星術のうま味を誰でも簡単に味わえる方向に進んでいる。
いつかスマホで自分や他人の生年月日を入れるだけで、性格診断や運気の流れ、過去、未来が診れるようになったら・・・
世の中、かなり面白くなるよね。
人生観がフラットになる。
俯瞰するように、違う次元で人生のことを考えるようになる。
つまり西洋占星術は、科学を利用して、人生と世の中を面白くしていくのである。
私がサイトで作っているアスペクト表などは、そんな時代にするためのパーツなんですけどね。いつか役に立つのだろう。