Vaundy のこと
大晦日の夜、「紅白歌合戦」を私は真面目には観ていない。
家というか、家族に観る習慣があるので、うちは惰性で大晦日の夜にはNHKをつけていて・・・私は特に観たいというアーティストはいなくて、たいがい心無く眺めている程度。大晦日のちょっぴり豪華な料理をつまみながらお酒を飲んでいる。
でも、昨年の紅白歌合戦では、つい聞き入った曲があった。
ゆらゆらと心が浮いて揺れたんですよね。
Vaundy(バウンディ:敬称を略させてもらいます。)の「踊り子」だ。
グルーヴ感が心地良いねぇ。
包み込まれるような温かみがあって・・・なんだか懐かしいんだよね。
私は大学時代には美術部に所属していたのですが、その仲間たちと薄暗いお店で飲んでいた時のことを思い出す。またその美術部にいる奴らが気合の無いのばかりでねぇ。まったりとしていて、特に何もせず、よく部室で転がるようにして、根本敬やつげ義春といったガロ系や吉田戦車の漫画を読んでいたなぁ。あのだらりとした穏和な時間。
なるほど、この曲は彼がまだ大学生の時にリリースした曲なんですよね。
大学生の空気感を上手に描いていますね。誰もが触れていたような、包まれていたようなものなのに、彼がそれをちゃんと見せてくれている。感服ですね。
で、お正月以降、Vaundyの曲をYouTubeで探して聴き直しているというか。
それまでVaundyという名前は目にしていたけれど、このおっさんはバンドの名前だと思っていましたからね。
この「踊り子」という曲でスイッチが入りましたけど・・・調べてみると、実はVaundyはいろんなテレビドラマやアニメの曲を提供しているので、とっくに耳にしていたんですよね。
例えば、私が気に入っていた昨年秋のドラマ「ライオンの隠れ家」のエンディング曲の「風神」とか、アニメなら、「王様ランキング」、「SPY×FAMILY」、「チェンソーマン」などの曲も手掛けている。
ドラえもんの映画の曲「タイムパラドックス」もある。今期のアニメでは「SAKAMOTO DAYS」のオープニング曲。
挙げていけば、切りがないほどだ。
じわじわとVaundyの曲は私の生活に浸透していたのだ。
いつの間にか、Vaundyの曲を聞いていたという次第であります。
「怪獣の花唄」は「オリコン年間カラオケランキング 2024」で、2年連続年間1位になっていますから、若者たちの間ではもうとっくに生活風景の一部になっていたんですよね。
で、まぁ、今更ね・・・恥ずかしながら、こんな風にVaundyに気づいてわくわくしてうごめいていること自身、私ももうろくしていて、アンテナが鈍くなっているじいさんの証拠ですね。世の中から周回遅れしているのに、ちょっと新しいものに触れると浮かれて自分が先頭に立っているような勘違いをしていますよ。
言い訳ですけどね、なかなかね、人間って、センスが硬直してしまうものなので、自分の若い時の感性で収まってしまうというか・・・20とか、30とか歳が離れた人たちの感性というものに共鳴することなんてほとんど無い。逆に、私は、20歳くらい上の義理父がある演歌歌手を追っかけをしているが、まったく理解できずにいる。世代のカルチャーの壁は厚いのだ。
Vaundyは私の30歳以上も年下なのですからね。
そんな彼の曲にうっとりさせられているのだから・・・ちょっとした戸惑いですね。
で、私は星占い師なので、Vaundyの星並びが気になる。
彼は、2000年6月6日生まれ。
生まれ時間が分からないので、ハウスは作れませんが、主にアスペクトで解説していきましょう。
【ここでホロスコープ初心者の方のためにアスペクト(角度)のことを簡単に伝えると、星同士の角度が0、60、120度の時は“吉角”と言って、良い働きをする角度。90、180度、つまり直角か、真裏に星が来ると、“凶角”と言って、強く出過ぎて、害になりやすい影響を与える角度。詳しくは私のサイトを見てね。】

まず目につくのは、太陽☉、金星♀と冥王星♇が180度凶角(オポジション)に並んでいること。
金星♀は“遊び、アート”。冥王星♇は“徹底的”という意味があります。
凶角はその星の効果が“出過ぎる”という意味があります。ハードアスペクトとも言います。
つまり、金星♀と冥王星♇の凶角は、“好きな事を徹底的にやり過ぎる”という意味になります。
この星並びを持っている人はオタクになることが多いですね。そこに太陽が乗って、よりエネルギーを増幅しています。
他にもこんな星並びがあります。

木星♃、土星♄と天王星♅が90度凶角(スクエア)に並んでいます。
木星♃は仕事。
天王星♅には個性、こだわりという意味があります。
木星♃と土星♄の凶角は、“仕事にこだわり過ぎる”という意味になります。
土星♄には“執着する”という意味があり、
土星♄と天王星♅の凶角は、直訳すれば、“個性にこだわり過ぎる”という意味になります。“個性にこだわり過ぎる”と周囲からは変人扱いされることが多いですので、私はこの星並びを変人の星並びと呼んでいます。
つまり木星♃、土星♄と天王星♅の90度凶角は、“仕事や個性にこだわり過ぎて、変人になっている”という意味であります。
まぁ、これだけでも、かなりのアーティスト気質だということが分かるのですが・・・
もう一つ、オーブ(星の影響範囲の角度)を広めに見る星占い師ならば、ミスティックレクタングルという特殊なアスペクトがありますね。

ミスティックレクタングルとは、上のチャートのように180度凶角が2つ、60度、120度吉角に交わるアスペクトです。
ミスティックレクタングルを持つ人はパワフルで、海を越えるスケールの大きな行動力があって、1つのことに集中すると、もの凄い突破力を発揮します。スポーツや芸術の他、多方面で活躍している人が多く、天才の星並びとも言われたりします。
Vaundyは路上ライブから始めて、大学在学中にこれほどの大物アーティストになるのだから、ミスティックレクタングルを持っているかもしれない。
昨年9月にNHKで放送された番組「Venue101 Presents Documentary on Vaundy モノづくりと生きてゆく」でVaundyは1年半に及ぶ密着取材をされている。
彼に興味を持っていた私は幸運にもこの番組を観ることができましてね。
番組の中では、彼のモノづくりへのこだわりが描き出されている。
デザインのスケッチをしていたり、カメラで撮影していたり、グラフィックデザイン、アクリル絵の具でキャンバスに絵を描いていたり・・・レコーディング中も副調整室でブロックを組み立てていたりして・・・Vaundyは常に何かを作り出していないと、アウトプットしていないと気が済まないだろう。何にでも興味を抱いて、夢中になってじっとしていられない子どものようだ。
Vaundyは日本大学芸術学部デザイン学科の在学中にデビューし、今まだ24歳。
デザイン学科なのに、なぜ音楽家として活躍しているのだろうと考えてしまうのだが・・・
番組内のインタビューで彼曰く、
“デザインというものは何か 問題提起があって、それに対する解決をモノで作る。
もしくはアイデアで作るのがデザインなんですよ。”
“人が抱えている問題なのか、そういう小さな問題に対して寄り添ってあげられる解決案っていうBGMみたいな、そういうものを作るのが僕は音楽だと思っているんで、やっぱ一緒なんですよね、デザインと”
彼は子供の頃から自分の外見にコンプレックスを持ってきたそうで・・・まぁ、確かにぽっちゃりとはしているけれど・・・そこで美しいものを作り出すことで、そのコンプレックスを克服してきたという。
まぁ、これも人生に対するデザインというものなんだろう。
となると、Vaundyは常にデザインし続けているということかな。
他にもこんなことを言っている。
“人にものを伝えるときって、150%でやっと70%伝わる。”
自分の感情やイメージを150%まで増幅させて、表現しても、それを見る人、聞く人には70%しか伝わらないということだ。
だから、伝えたいことがあれば、熱量をぐっと上げて取り組むしかない。
実にモノづくりへの姿勢が、とにかくアグレッシブだ。
好きなものへの気持ちが突き抜けている。
私はしばらく、Vaundyの曲に寄り添ってもらい、若さを吸い取らせてもらいますよ。